第2話 路地裏にて
昼も近づいてくると、公園では日差しを遮るものがないので、場所を移すことにした。と言ってもアテもない。
どこかに入るにしてもお金などないので、ぶらぶらと散策する。
高台にある公園からは道が二つに枝分かれしていく。一つは車が通れる大きな道。この道は町の中心地へと入り込める道だ。もう一つの道は入り組んだ細い道。自転車くらいなら何とか通れるだろう、という道幅。
元々はこの細い道が主たる交通路だったようだが、町の開発が進むにつれて、道は削られ建物の土台へと姿を変えたらしい。
好き好んで歩きにくい小道を行く者は少ないが、私はその少ない方に属する。
アスファルトの舗装がされているところと土が剥き出しのところが混在しているのが好きだ。上流から流れてくる綺麗な水が、生活用水と混じり合って、下水道の中に吸い込まれていく。これも人々の営みの証か。
コンクリートで固められた塀から名も知らぬ草花が顔をひょっこりと出している。
むしられてもちぎられても、何度でも外を目指す姿勢に敬礼したくなる。
きっと、さっきの老人やランナーの青年、鉄棒の少女も、こんな道を通ったりしない。誰も好んで通りにくい道を歩かない。
不意に楽器の音が聞こえた。ここは風の通り道なので、音が風に乗って聞こえやすい。音色は同じフレーズを繰り返す。ところどころ詰まったり、音を外したりしている。きっと練習だろう。
しかし下手ではあるのだろうけど、感情が乗っていて不快ではなかった。この音が機械的に、無機質にならない限りは、上達も早いのではないだろうか。
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