ある風景
つかさあき
第1話 公園にて
1
家の近くにお気に入りの公園がある。高台に位置し、利用する人も少ない。掃除も行き届いていて、それなりに綺麗だ。
何より高台からの景色が一番のお気に入りだ。人家や道路、小さな粒のようなものは行き交う人々だろう。箱庭のようで見ていて面白い。
何をするでもなく、ベンチでぼうっとしていると、少し背中が曲がった老人が犬の散歩にやってきた。小さな犬だが、犬は嫌いだ。リードを離さないでいくれる事を願う。
幸い老人はリードを持ったまま、公園内を散歩している。時々犬が草むらに頭を突っ込むのを苦笑しながら宥めて止めさせようとしている。
10分ほどすると、息を切らせた若い男性がやってきた。早朝ランナーだ。
公園内に入ってくると、一周ゆっくりとしたペースで走り、徐々に速度を落としながら立ち止まった。
それを見ていた、先ほどの老人がおはようと声をかけた。ランナーの青年もおはようございます、と挨拶を返す。
二人と一匹はしばらくの間、談笑していたが、青年はまだランニングの途中なのか、老人にじゃあ、と言って公園を出て行った。
それに釣られてか、老人と犬も公園を後にした。
時計を見ると7時前だった。空もだいぶ青さを増して来ている。
次に公園に来たのは、ランドセルを背負った女の子だった。この子は顔だけは知っている。登校前に公園に寄り、鉄棒で逆上がりの練習を10分くらいするのだ。
今日も変わらず逆上がりの練習をしているが、なかなか上手くいかない。学校でも練習できるだろうと思うが、出来ないところを見られたくないのかもしれない。
一通り練習が終わったのか、私のところにやってきて、おはようと元気よく挨拶だけすると返事も待たずに駆けていく。今日も逆上がりは出来なかったけど、昨日よりはよくなっている。本人も気づいているといいのだが。
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