第2話 証言
晴海涼風の母の証言
「娘の事件と朝比奈さんの事件を結びつけているんでしょうか。
ほっといて下さい!
娘が失踪してから二年、なんの手がかりもなく警察の方も最近捜査がおざなりで
今更なんですか!
まさか娘がやったとおもっているんじゃないですよね! 」
憔悴した母親に尋問するのは気が進まない。
一ノ瀬は続ける。
「その点は朝比奈がやったと自供していますので、念のため、念のためですが
お母さまとご主人が現場近くに行かなかったか証言していただける方はいらっしゃるのか、そしてこれが一番お聞きしたい事なのですが朝比奈美紀と接触されましたか」
母親は続ける。
「正直、娘と一緒に島に行った三人が殺されてもどうという事はありません。
それより朝比奈が娘をあの時殺したと言ったのなら、私はあの娘を許しません。
朝比奈と最後に会ったのは島の事件から一か月後、ええ彼女だけですよ弁護士では
なく直接会いに来たのは…でも「ご葬儀の時には参列させて下さい」と言った時に
「縁起でもない、帰りなさい」と怒鳴りつけました。それだけです」
「ここ一週間は、主人がね、私の心労を慮って海外に連れて行ってくれたんですよ
娘が行きたがってたニューヨークにね…」
朝比奈美紀の父親の証言
「前にもお話しましたが、何度でも協力させていただきます。
すいません家内が心労で入院しましたので私が替わりに事件当日の話をさせていただきます。鶴屋さんの事件の当日、妻は娘が「鶴屋さんに会いに行く。
帰りは遅くなる」といって出かけていったのは覚えているそうです。そして
夜の二十時に帰宅しました。小泉さんの場合は妻は娘が自宅にいるようだったと記憶しています。曖昧ですいません。
小泉さんが殺されたと発表された翌日から娘は自宅に戻らず、一度だけ妻の携帯に
留守電が入っていました。
「心配しないで、都内のホテルにいるから」とだけ入電していました。
そして伊藤さんが発見された朝、娘は帰ってきました。
私ですか、ここ一週間は省庁で泊りがけで仕事をしていました。
近所のおばちゃんの聞き込み
「伊藤さんとこの壱次さんかい」
「高校生の時は元気よく挨拶してくれたけど
大学に落ちて引籠ったんじゃない…ニートっていうやつでしょ
たまに見るけど陰気になったねぇ…」
「ああ朝比奈さんとこのお嬢さんね
人を三人も殺したんでしょう。
人は見かけにはよらないっていうけど、虫も殺さないような人がとは
よくいったものね。
たまにみかけたけど、綺麗ではあるけどオドオドしてたわね」
恐山のイタコ「回答集」
「わたしは鶴屋しのぶ。
わたしは朝比奈美紀に殺された。バールなようなもので頭を割られた
のじゃ、痛かったぞ」
「わたしは小泉信次朗
わたしは朝比奈美紀に殺された。バールなようなもので頭を割られた
のじゃ、痛かったぞ」
「わたしは伊藤壱次
わたしは朝比奈美紀に殺された。バールなようなもので頭を割られた
のじゃ、痛かったぞ」
「晴海涼香、死んでない者は口寄せできんぞ、わしをあなどるな!」
帝国大学院の研究員の証言
「ああ小泉君ね。よくもてたかな。あ、飛び級で大学院の研究員になった
から天才は天才かな。
人付き合いもいい方でね。コンパ頼んだらとびきりの美女連れてきて
免疫のない俺たちにはハードル高かったかな。いい思いをさせてもらった
残念だよ…」
聖花女子短大の生徒たち 証言
「ええぇみきるん、ほんとにひと三人も殺したの、しんじられなーい。
まぁここだけの話、だいぶカマトトのブリっ子だったから
仲間外れにはしなかったけどぉ私達ぃ距離置いてたかな…
親しい間柄のお供達ぃ、いないんじゃない。
だいたい城南大の付属からこっちきたから、男関係で何かやったんじゃないの?」
占い師新宿の父 聞き込み
「凶器は…西南の方向にある。暗いところに隠されておる。一カ月もすれば
おのずと発見されるであろう」
「比翼の鳥とは頭が二つあるつがいの鳥をさす。車輪の両輪、切っても切れない
中という、仲睦まじいというたとえじゃな」
「えすつう機関とはな
それは生命の実のことじゃ、知恵の実はアダムとイブが食べて知恵をつけた
そして天国から追放された。生命の実も邪悪な蛇が守っておる。
中国には「蟠桃」(ばんとう)というのがあってじゃな、これは寿命を延ばす」
「朝比奈美紀が人を殺したのか、四柱推命では九紫火星となっておって
今年は最悪の年と出ておる。六白水星と仲がよいのでこれと付き合うと
多少、まぬがれるじゃろうな」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます