第6話『逆再生の音』
むかしむかし……いや、つい最近のことじゃ。
とある町に住む高校生の少年が、放課後に友だちと“都市伝説検証”とやらを始めたそうな。
今どきの子らしく、動画を撮って、ネットにあげて遊んでおったんじゃ。
ある日、少年が見つけたのは、こういう話。
「ある特定の童謡を、真夜中の2時に“逆再生”で流すと、“見たくないもの”が見える」
それを試した動画は、すぐに削除されてしまうのだという。
好奇心に駆られた少年は、夜中にイヤホンをつけ、童謡を逆再生したそうな。
「しゃららら、ころりん……ころりん……ひゅる……」
不気味な音が耳を這い、心臓がどくりと跳ねた瞬間――スマホの画面が、勝手にカメラモードに切り替わった。
何も映っておらんはずの天井に、白い顔が、ぬっと映ったそうな。
真っ赤な口が、逆さまに笑っておる。
少年は慌ててイヤホンを引きちぎり、動画をすぐに消した。
それ以来、スマホのカメラは勝手に起動するようになり、撮った覚えのない“天井の写真”が、毎晩一枚ずつ増えていく。
最初はぼんやりした影だけだったのが、やがて顔になり、目がこちらを見つめ、口元が笑い、だんだん近づいてきておる。
いまじゃもう、カメラを起動せんでも、はっきりと“あの顔”が見えるようになったらしい。
少年はもう、スマホも持たなくなった。
だが――その部屋の天井には、今でも毎晩“写真”が増え続けておるそうな。
今夜もきっと、あなたのカメラが勝手に起動したら、気をつけなされよ。
そこに、逆さまの笑顔が写っていたなら――
――ほれ、ぞくりとする話でござんした。
おしまい。
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