第9話

×××の写真を、LINEのアイコンにしていた。

夜中に思いついて、何も考えずに変えた。


×××がギターを弾いているのを撮った写真。

床に座って、こっちを向いて、ギターに手をあてる。

私はあの写真がすきだった。

自分のスマホの中に×××がいることが、うれしかった。


それを、×××にバレた。

「あいこんおれ?」


その日を境に、×××はぱったりと話しかけてこなくなった。


挨拶も、ちょっとした絡みも、全部なくなった。

隣の席なのに、声が届かなくなった。

完全に、壁ができた。


なんで?って思った。

たったそれだけで、そんなに引かれることだったの?

私の気持ちは、そんなに気持ち悪かった?


何もかもが、一方的すぎて、やりきれなかった。


話さなくなって、何週間が過ぎたのかも曖昧だった。

LINEも来ない。目も合わない。

出席番号が前後でも、もうまったく関係ないみたいだった。


そのまま三学期が終わって、春休みに入った。

新学期が近づいても、×××と話すことはなかった。

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