第8話

修学旅行。

×××とは班もバスも別だった。


だから、話すことはほとんどなかった。

それでも観光地で何度も偶然会って、

そのたびに、×××はいつもと同じように「おー、○○じゃん」って笑ってくれた。


その軽さに、ちょっとだけ救われた。


夜、急に×××から個チャで通話が来た。

通話に入ると、数人の声が飛び交っていて、

たいがの笑い声も混じってた。


話す内容はくだらなかった。

でも、わたしはその時間がすごく楽しかった。

たいががそこにいて、わたしがその場にいられることが、うれしかった。


通話が終わって、画面が暗くなったとき、

部屋の静けさが急にこわくなった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る