第14話好きにさせた責任とらせるからね?

紅茶を飲み終えたあと、遥がうとうとしていた。


「ねえ、眠くなってきた……」


「今日はよく歩いたし、そりゃそうだ」


「んー……」


ソファに身を預けるようにして、遥が目をこすった瞬間、

駿がそっとブランケットを肩にかけてくれる。


「ひとまず、ちょっとお昼寝する? 俺が隣で見守ってるから」


「……ねえ」


「ん?」


「そろそろ、そっちからも好きって言ってくれてもよくない?」


駿はちょっとだけ笑ったあと、遥の頭を自分の肩に寄せた。


「好きだよ。何回だって言うよ?」


「……え、今、めちゃくちゃ自然に言った……」


「だって本当だし。それに──」


そう言って、駿が耳元で囁く。


「遥が可愛すぎて、好きって足りないくらい。……正直、毎日困ってる」


「む、むり、むり、それは溺愛が過ぎるぅぅぅぅ!」


遥はブランケットにくるまって床に転がる。


「やばい、心臓が限界突破する……!」


駿はそんな遥を見て、クスッと笑う。


「遥」


「な、なに?」


「好きにさせた責任、とってもらうからね」


「……それは、ずるい……でも、好き……!」


その夜。

ふたりはただ手をつないだまま、肩を寄せ合ってソファで眠った。


夢に出てくるのも、声を聞いて眠るのも。

今は全部、ひとりじゃなくて──ふたり。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る