第4話
――薬草と謎アイテムとちょっと後悔
朝、オレは泊めてくれた爺ちゃんにお願い事をされた。
「このあたりじゃ“ミラリ草”がそろそろ生える季節じゃ。風邪薬になるから揃えて おきたいんじゃが、どうも腰が痛うてなあ……」
「(たぶんギックリ腰で痛めたな)」と心の中で思いつつ、散歩がてら薬草採りを引き受けた。
「ルゥー、出かけるぞー」
「きゅぴ!(わーい外だー!)」
ルゥはオレの頭に乗っかってるスタイル。最近は何処かににおやつを入れてるらしく、頭の上からたまに食べかすが落ちてくる。
目的地は小高い丘のふもとの森。そこには、青紫色の花をつけた薬草「ミラリ草」がぽつぽつ生えていた。ほんのりラムネの匂いがするのが目印。
「おっ、これだな。さくっと採って……」
その時、足元の草むらでカチッと音がした。
「……なんか踏んだな俺?」
突然、地面がパカッと開き、オレとルゥはそのまま落下。
「おおおおおおおい!?!?」
着地した先は、地下にぽっかり空いた謎の空間。
そこには、でっかい宝箱が一個だけ、ドヤ顔をしているように鎮座していた。
「いやいやいや、なにこのRPG感!!」
「きゅぅぅ(罠の匂いがする)」
それでも好奇心には勝てず、オレはそーっとフタを開けた。
中にあったのは――
「転ばぬ先のツッコミ棒」
「……なんだこれ。てか説明書ついてる」
【転ばぬ先のツッコミ棒】
持ち主が危険なボケや状況に直面したとき、自動でツッコミを入れて助けてくれる棒。
副作用:若干うるさい。あとちょっと小馬鹿にしてくる。
カイがツッコミ棒を手に取った瞬間、棒がぴかーんと光り、
「また宝箱開けてる!お前、学ばないタイプだな!!」とツッコミが炸裂した。
「おい、今開けたばっかなんだけど!?」
「それがフラグなんだよ!異世界舐めすぎだぞ!!」
ルゥはおもしろがって地面でコロコロ転がっている。
しかもその直後、天井から**スライム(謎のメガネ付き)**が降ってきた。
「知性あるタイプだこれ!?やばくない!?」
「さあどうする!?って迷ってる間に逃げろよユウ!!」
なんか棒がどんどんうるさくなってきた。
結局、オレとルゥは棒にツッコまれながら全力で逃走。
薬草はなんとか手に入ったが、帰り道は棒がずっとしゃべってて気が散ってしょうがなかった。
「今のテンション:67%(ちょっと疲れた)」
「きゅぅ(わかる)」
こうして今日も、ただ薬草を採りに行っただけなのに、なぜかしゃべる棒が仲間になった。
異世界の“普通”は、今日もちょっとズレている。
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