第3話
――伝説のアイテム(たぶん)
翌日、昼寝から目覚めると、ルゥが宿の庭を掘っていた。
「お前それ、誰の許可で庭に穴掘ってんだ」
「きゅぅ!(なんか埋まってた!)」
ルゥの足元には、土にまみれた木箱。中から出てきたのは、やけにキラキラした大きめのスプーンだった。柄の部分には、怪しい古代文字のようなものが彫られている。
「……これは……えっ、まじでなにこれ……?」
「スプーンですね」
突然、スプーンが喋った。
「うおぉ!?喋った!!」
「私は“予知スプーン”。一口すくえば、次に食べるものが何か当てられます」
「……うん、それいらんかもしれん」
「ちなみに今あなたが食べようとしているのは……干し肉(少し腐ってる)です!」
「当たってるけど、余計な情報混ざっとる!!!」
ルゥはすでにその干し肉をかじっていて、顔をしかめて唸っている。
「うう゛ぅ~……(もう学ばないといけない気がする)」
さらに木箱の中からは、もう一つ、丸いボール状のアイテムが出てきた。表面にはスイッチらしきもの。
「これは……?」
スイッチを押すと、ボールが光り、ふわっと浮かび上がった。そして、
「現在のあなたのテンション:53%(微妙)」
「いや、なんで!?誰得!??」
「※テンションは1分ごとに自動更新されます」
「更新いらんって!」
「現在のあなたのツッコミ力:87%(絶好調)」
「黙ってろ!!」
ルゥはその間にスプーンをくわえて走り回っており、「未来が見えるぞー!」と叫んでいた。(たぶん)
結局、スプーンはスープとかを混ぜるのに使われ、テンションボールはルゥのボール遊び専用となった。
こうしてまたひとつ、役に立たない(でもちょっと楽しい)アイテムがオレらの旅に加わった。
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