最終章 始まりの地へ

第18話 記憶に残り続けたあの火

 四人は、旅が始まって最初に訪れた街へ足を運んだ。そこは、今も変わらずゴミひとつ落ちておらず、街の人々も穏やかな表情を浮かべていた。


 街を散策している四人に、若い男が声をかけてきた。

「君たち、またこの街に来てくれたのか。平和や希望なんて綺麗事だと思ってたけど、どうやら君たちはそれを実現したようだね。本当に凄いよ。」


 アルフは「いや、俺たちはきっかけを与えただけだ。本当に凄いのは自分たちの住む街を良くするために努力した皆だ。」と謙遜した。


 一方、ローナは少女に声をかけられていた。「お久しぶりです、ローナさん。皆さんのおかげでこの街の大人はみんな優しくなったよ。本当にありがとね。」


 ローナは笑顔を浮かべ、「あら、あの時の女の子じゃない。随分大きくなったわね。でも、私たちがやったことなんてほんのちょっとよ。人が変わるかどうかは周りじゃなくて本人の努力次第よ。あなたも覚えておいてね。」と語りかけた。


 若い男や少女との再会を果たした後、街の広場に集まった住民たちが四人を囲み、感謝の言葉を次々と伝えに来た。


「君たちがいなければ、僕たちの心はきっと荒んだままだった。本当にありがとう。」


「あなたたちが教えてくれた『信じること』の大切さ、今もみんなで守り続けています。」


 アルフは人々の感謝の言葉を聞きながら、ゆっくりと皆に向き直り、静かに語りかけた。「俺たちはただ、かつて存在した集落で気づいたことを伝える旅をしてきただけなんだ。そして、こうして街が変わり、人々が平和を実現したのは、皆の努力の結果だ。これからも、この街を大切にしてくれ。そして、信頼の尊さを後世に伝えていってほしい。」


 アビーも一歩前に出て微笑みながら言った。「私たちが踏み出したのは小さな一歩だったけど、それがここまで広がるとは思ってなかった。でも、皆ならもっと素晴らしい未来を作れるよ。これからも信じることを忘れずにいてね。」


 ギルは少し照れくさそうに頭を掻きながら言葉を継いだ。「俺たちも旅の途中で色々と学んだ。信じることは難しいが、その道を貫くだけの価値があるんだってことを。この街から始まった旅でその答えが見えた気がするな。」


 最後にローナが笑顔を浮かべながら語った。「ええ、信じることや助け合うことの輪が、もっと広がっていくことを願ってるわ。この街がそのスタート地点だったのは、本当に素敵なことよ。」


 四人の言葉に、街の住民たちは温かい拍手を送り、それは街中に響き渡った。青空の下、笑顔と希望が広がる街を後にしながら、アルフたちは互いに目を合わせ、満足そうに頷き合った。

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