第16話 陰り

 レオの家に向かう道中、アルフはエリオットにレオの性格について尋ねてみた。

「エリオット、ブレンダンは『レオが人の流入を拒むことに躍起になってる』と言ってたが、彼はそんなに頑固者なのか?」


 エリオットは俯き、「レオは……そうですね。一度思い込んだら突っ走る癖があり、それでいて一部を見て全て知った気になる……とまでは言いませんが、偏見を持ちやすい節がある。正直、頑固を通り越して厄介なんです。」


 アビーは「そうなんだ。レオが街の発展に乗り気じゃない理由は一癖ありそうだね。」と肩をすくめた。


 アルフはエリオットの言葉を聞きながら考え込んでいた。「それが本当だとすると、レオが人の流入を拒む理由には、観光客や旅人絡みで何か嫌な思い出があるのかもしれないな。ただの意地や頑固さだけで街を分断するなんて考えにくい。」


 エリオットも同意しながら、「そうですね。レオは昔から子供っぽいところがありますが、今回はそれ以上に何かを恐れているのかもしれません。」と答えた。


 ギルが口を挟んだ。「もしかしたら、何か具体的な不安があるのかもな。ブレンダンの言うように急激な変化が街に悪影響を与えると考えているのかもしれないが、それ以上に何か重大なことを心配しているのかもしれない。」


 ローナは少し考え込みながら、「レオが何を恐れているのか分かれば、彼が人の流入に否定的な理由が見えてくるかもね。その理由が理解できれば、彼にとっても受け入れやすい解決策が見つかるんじゃないかしら。」


 その後、五人はレオの住む区域に近づくにつれて、周囲の雰囲気がどこか重苦しいことに気づいた。住民たちもレオの方針に不安を抱いている様子だったが、同時に彼を支持している者も少なくないようだった。


 エリオットは扉の前で立ち止まり、少し緊張した面持ちでアルフたちに視線を向けた。「レオが心の内を話してくれるといいんですが……。」


 アルフはエリオットの肩に手を置き、「俺たちも一緒だ。まずは彼の話をしっかり聞こう。そうすれば、彼の本当の気持ちが見えてくるはずだ。」と励ました。


 エリオットは頷き、意を決してレオの家の扉をノックした。しばらくして扉が開き、レオが現れた。その表情には、旅人であるアルフたちへの敵意が滲んでいた。

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