第15話 混ざり合う白
四人に後押しされる形で、次男であるブレンダンのもとを訪ねたエリオット。
「ブレンダン、ちょっといいかな?」
ブレンダンは怪訝な顔をしながら五人を招き入れた。「なんだ、兄貴か。今日はやけに思い詰めた顔してるけど、旅人四人も引き連れて何の用だ?」
エリオットは深く息を吸って、ゆっくり口を開いた。「ブレンダン、レオと仲良くしてほしいとは言わない。ただ、私情よりも街のことを優先して、街を分断している現状を解決してほしいんだ。」
ブレンダンはため息をつくと「なんだ、その話か。俺は元通りにしてもいいんだが、あいつが外からの人の入りを止めようと躍起になってるからな。……それより、あの兄貴がわざわざ来たんだ、何か街の統治について考えがあるんだろ?」
心の内を見抜かれたエリオットは、正直に打ち明けた。
「ああ、そうだ……ブレンダン、この街には、君が言うように旅人や移住者を受け入れることも必要だ。そうしないと、新たな文化や技術を得ることはできないからね。でも、住民が増えれば必要な土地や物資も増えていく。ペースや限度に配慮しなければ、その綻びは大きくなって街は成り立たなくなっていくだろう。だから、レオと協力して……」
ブレンダンはエリオットの話を遮るように言った。
「兄貴。そこまで街のことを思って口出しするんなら、あんたも協力するのが筋ってもんじゃないか?」
エリオットはブレンダンの言葉に一瞬言葉を詰まらせたが、すぐに真剣な表情で応じた。「確かに、君の言う通りだ。私も街の一員として、この街の未来に責任を持つべきだろう。だから、ブレンダン、私は君とレオが協力できるように全力でサポートする。そして、私自身も街のためにできることは全てやるつもりだ。」
ブレンダンは兄の決意を見つめながら、しばらく沈黙して考え込んでいた。その間、アルフたち四人も慎重に様子を見守っていた。
やがて、ブレンダンはゆっくりと口を開いた。「兄貴がそこまで本気で考えてるなら……俺も協力してやるさ。だが、条件がある。まず、レオと話して、あいつがどうしても人の流入を拒む理由を確かめるんだ。お互いが納得し合える形で街を治めるためには、まずお互いの意見を尊重しなければならないからな。もしレオがどうしても譲れない理由があるなら、俺もその理由を考慮する。だが、無茶な主張だけを通そうとするなら、俺は折れるつもりはない。」
エリオットは弟の返答に安堵の表情を浮かべた。「ありがとう、ブレンダン。君の意見を尊重しながら、レオとも話を進めてみる。そして、私たちでこの街をより良い場所にするために協力し合おう。」
ブレンダンは軽く頷いた。「ああ、兄貴がそう言うなら、俺も協力するさ。あくまでもこの街の未来が一番大事だからな。」
アルフたち四人もブレンダンの姿勢に感心し、次にレオとの話し合いに臨むエリオットをサポートするための準備を整えた。街の分断を解消し、住民たちが再び一つのコミュニティとして共に歩んでいくために、次の一歩を踏み出すことになった。
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