第14話 明るい白、暗い白、優しい白
エリオットはまず、弟たちが何故街の統治者になろうと意地になっていたのかを語り始めた。
「私の弟は二人とも強気なんですが、街の統治に対する考え方はまるで正反対で……次男は街をもっとにぎやかにするため、旅人や観光客、移住者を集める方針を取ってるんです。三男は反対に現状維持どころか、閉鎖的な街にしようと考えているようで…。」
ギルはエリオットの弟たちが単純に街の権力が欲しいだけじゃなかったことに安堵した。
「なるほどな。あんたの弟はただのわがままじゃなかったんだな。それで……エリオット、あんたはその辺どう考えているんだ?」
エリオットは突然の質問に一瞬驚いたが、少し考え込んだ後に口を開いた。「次男が言うように急激に人の流入を増やせば、移住者の土地や建築資材の確保に滞りが生じますし、物資の消費増加に伴って、あらゆるものの価格も上昇してしまい、その結果住みにくい街になってしまいます。」
考えを整理するように一息ついた後、再び語り始めた。
「一方、三男が言うように現状維持をすれば物資は安定して確保できるでしょう。ですが、住民が増えにくいということは、新たな文化や技術の流入が無く発展性も無いということになります。そして、時を追うごとに若かった者も老いていき、街も衰退の一途を辿るでしょう。」
そして、エリオットは彼自身の考えを語った。
「弟たちの考えにもそれぞれ長所はありますから、私はそのバランスを見極め、ブラッシュアップした上で実行に移して暮らしやすい街を築きたいと思います。」
エリオットの言葉を聞いたアルフたちは、彼のバランスの取れた考え方に感心した。彼はただ兄弟たちの意見を否定するのではなく、それぞれの長所を見極めて街の未来を考えていたからだ。
アルフは頷きながら言った。「エリオット、君の考えはとても理にかなっていると思う。それぞれの意見を取り入れて街の発展を考えることができるのは、君の強みだ。それを弟たちに伝えることができれば、きっと彼らも納得して協力してくれるかもしれない。」
ローナも続けた。「ただ、問題はどうやって弟たちを説得するかよね。彼らが自分たちの考えを固く信じている以上、対立を終わらせるのは簡単じゃないわ。」
エリオットは深く息を吐き、しばらく考え込んだ後に言った。「そうですね……。次男と三男が互いに納得し、協力し合うためには、まず私が二人に直接会い、彼らの意見を尊重しつつ、自分の考えを話す必要があります。正直言って自信はありませんが、彼らが街の未来を本当に考えているなら、きっと分かり合えるはずです。」
ギルはエリオットの肩を軽く叩いて励ました。「自信がなくても、やってみなきゃ分からないだろ。俺たちも手助けする、一緒に行くぞ。」
アビーも笑顔で言った。「そうよ。私たちがサポートするから、エリオットさんも自分を信じて前に進んでみて。」
エリオットは四人の言葉に勇気をもらい、決意を新たにした。「ありがとうございます。では、まず次男に会って彼の意見をしっかり聞き、その後三男とも話をします。二人とも互いに理解し合えるよう、私が間に立って橋渡しをするつもりです。」
こうして、エリオットはアルフたちの協力を得て、まずは次男との対話に臨むことになった。彼が弟たちとの話し合いを通じて街の分裂を終わらせ、住民たちが再び一つにまとまることができるよう、四人は彼を全力でサポートする覚悟を決めた。
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