第12話 戻ってきた雑踏
アルフたち四人と盗賊団が街の復興を始めて半年経つ頃には、彼らも街の一員として認められるようになっていた。
アルフは初めてこの街を訪れた時の様子を思い出して呟いた。「これが本来のこの街の姿なんだな。全ての街がこんな風に明るい笑顔で満ちていけばいいな。」
街を見て回っていた長老は、かつて盗賊団リーダーだったバイルの姿を見つけると彼の肩を叩き、「君たちが心を入れ替えたことはよく分かった。……あのアルフという男とその仲間たちが私に言ったのだ。『人は互いに信じ合うことで成長する』とな。だから、我々も君たちを信じて共に未来を築いていく。君たちも、その心を失わずに精進するのだぞ。」と優しく語りかけた。
バイルは街の清掃をする手を止め、長老の言葉に感慨深げに微笑んで頷いた。「ありがとうございます、長老。俺たちは、過去の過ちを忘れずに、これからも自警団として街のために尽力します。この街が、そしてフレトス全土が、人々の信じ合える場所になるように。」
長老はその言葉に満足げに頷き、「それでよい。これからは我々と共に歩んでいこう。」と微笑んだ。
アルフたち四人はその頃、街の中央広場に立ち、復興した街の様子を眺めていた。人々が笑顔で行き交い、商店からは活気が溢れ、子供たちの笑い声が響いていた。かつての暗く荒んだ街の姿は、今やすっかり消え去っていた。
アビーが目を細めて微笑みながら言った。「やっと、街の人たちが心から笑えるようになったね。」
ローナもその光景に目を細め、「あたしも、こんなに素直に笑う子供たちを見るのは久しぶりだわ。これが本来あるべき姿なのよね。」と呟いた。
ギルは少し照れくさそうに笑って、「俺たちがここまでできるとは正直、思ってなかった。だが、やはり人は変われるんだな。俺たちがこの街に少しでも貢献できたなら、それだけで十分だ。」と言った。
アルフは、仲間たちの言葉に静かに頷き、「そうだ。これが俺たちの目指してきたものだ。でも、これで終わりじゃない。この街を出たら、次の街へと向かおう。そして、このフレトス全土を、信じ合い、支え合う国にしていくんだ。」と決意を新たにした。
長老は四人のもとに歩み寄り、少し微笑んで言った。「君たちは、本当に素晴らしい仕事をしてくれた。この街は君たちの努力のおかげで蘇った。次の街でも、君たちの志を広めていってくれ。」
アルフたちは頷き、街を後にする準備を始めた。住民たちは彼らを感謝と敬意の眼差しで見送り、再びこの街が平和であり続けることを祈りながら、次の目的地へと旅立った。
こうして、アルフたち四人は、フレトス全土に希望と信頼を広める旅を再開した。彼らの行動は少しずつではあるが、荒んだこの国に変化をもたらし始めていた。どの街でも彼らは、信じ合うことの大切さを伝え、フレトスに新たな未来を築くために奮闘していくのだった。
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