第11話 これが贖罪への一歩なら
街に辿り着いた四人と盗賊団は、街の家や店を一軒一軒訪ね歩き、真摯に謝罪をしていくことにした。当然、謝罪を受け入れられないどころか怒鳴られることもあったが、それでも謝り続けた。
一通り謝罪を終えた後、次に長老のもとを訪ねた。警戒心を露わにしつつ扉を開けた長老に対し、バイルは彼の目を見て告げた。「これまでのこと、本当に申し訳なかった。何も言い訳はしないし、許してほしいとも思わない……だが、心を入れ替えて街の人々のために生きることで、罪を償う機会を俺たちに与えてほしい。」
長老はバイルの言葉を聞いて、深く息をついた。彼の目はバイルを見つめ、長い沈黙が続いた。やがて、重々しい口調で話し始めた。
「お前たちがこの街にどれだけの苦しみをもたらしたか、わかっているのか?多くの家族が財産を奪われ、恐怖の中で暮らしてきた。だから、許しを得るのは簡単なことではない……。」
バイルは黙って頷いた。彼は自分の行いがどれほどの痛みを生んだか、長老の言葉を通じて再び実感した。
「だが……」長老は続けた。「お前の目を見て、嘘をついているようには思えない。人は変わることができると、私は信じたい。だが、信頼を取り戻すには長い時間がかかる。お前たちが本気で償いたいと思うなら、これからの行動でそれを示すしかない。」
バイルは深く頭を下げた。「そうだ、俺たちはこれから行動で示す。街を守り、共に生きるために力を尽くす。それが、俺たちの新たな生き方だ。」
長老はしばらく彼の頭を見下ろしていたが、やがてその肩に手を置き、柔らかく言った。「では、まずは街の再建から始めるといい。奪われたものを取り戻すことはできないが、これからはこの街に何かを与えるために働いてもらおう。お前たちが本気であれば、少しずつだが人々もお前たちを受け入れるだろう。」
ギルがその言葉に応じて、「俺たちも手伝う。街の人々に信じてもらえるよう、共に汗を流そう。」と力強く言った。
アビーも、「そうね。私たちが集落で学んだのは、信じることが何よりも大切だということ。この街にも、それを広めていきたい。」と微笑んだ。
ローナは長老に向かって静かに頷き、「あたしたちも、あなたたちのために全力を尽くすわ。この街が再び安全で平和な場所になるように。」
長老は四人と盗賊団を見渡し、微かに笑みを浮かべた。「よろしい。では、これからが本当の始まりだ。お前たちの行動が、この街の未来を決めることになる。頑張るんだぞ。」
こうして、四人と盗賊団は街の再建に向けて動き出した。家々の修繕や街の清掃、商店の再開、そして防衛を手伝いながら、彼らは自分たちの誠意を示し続けた。最初は警戒していた住民たちも、彼らの真剣な努力を目の当たりにし、徐々に心を開いていった。
やがて、街にはかつてのような賑わいが戻り始め、信頼の輪が少しずつ広がっていった。四人と盗賊団の行動は、街だけでなく、フレトス全土に少しずつ変化をもたらしていくかもしれない。彼らは信じる心を広め、フレトスの未来を少しでも明るくするために、これからも歩み続ける決意を新たにした。
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