ふたりで、じゅうぶん。～妊活のやめどき、人生のはじめどき～

毎月の通院、ホルモン注射、採卵の痛み。
キャリアを手放し、貯金を削り、夫婦の時間も、体力も、心も、すり減らして。
“子どもができれば、全部報われる”と思って挑んだ妊活。そこから人生のすべてが“結果待ち”になっていた。

子どもがいない人生なんて、意味があるの？
そんなこと、誰にも言えないまま——今日も検査結果を待っている。

……そんな毎日を終わらせたのは、妊娠じゃなく、「もう、やめよう」と言えた日だった。もう誰かの期待も、結果も待たない。
ふたりで生きていくと決めた今、やっと呼吸ができるようになった。私は今、自分の人生を生き始めている。