SFと言われると、物好きな僕はビジュアルを想像します。
人間ドラマと言われると、物好きな僕はその人の外見を想像します。
が、しかし。
この作品には、どちらも事細かに描かれてはいません。では描写力に欠けるのか?
否です。むしろ無駄な要素がない……というか、自然と湧いてくるんです。登場人物の様子や心理、街を行く人々や交通機関。
ここで新たなテーマが持ち上がります。それは「現実vs非現実」だったり、「出会いvs別れ」だったり。
また、文章自体に温もりがあります。本当に、どうすればこんな作品を描くことができるのか、勝手ながら羨ましく思ってしまいますね(笑)
仮想現実をテーマにした作品が流行している現在、仮想現実内における登場人物の人間らしさはどうなるのか? いわば『二重の生命』を生きる人々が受け入れるべき現実とは?
そして、そんな時代における『心の温もり』とは? ああ、一気読みできてよかった……(^ω^)
時は2045年――生死を彷徨う人間に与えられた生きていくためのもう一つの仮想世界『パーフェクト・リブート』
その世界がもたらす価値から社会から『現実』として初めて認められる世界でもありました。
病室で昏睡状態にある小春は、この「つくられた世界」で目覚め、そこで生きるミズキと出会い、新たな人生を歩んでいく物語。
そこで知った事実――それは現実世界での治療で回復し、意識を取り戻すことになれば、仮想世界から切り離され、姿はきえてなくなるというのです。
想いの人から自分が現実世界へと戻ることを告げられたら。
沸き起こるのは……
相手が生き返る知らせに喜びの気持ちを伝えたい幸福感でしょうか。
一方、自分がこの世に残され、目の前の相手がいなくなってしまう寂寥感でしょうか。
祝福したい気持ちと悲しみに沈む思い。
これらが同時に押し寄せ、言葉にできない気持ちで満たされる筆致は胸を打ちます。
現実世界へと戻ってもそこで得られた記憶や経験を心と身体は覚えている――それはまさしく生きてきた証です。
リアルとバーチャルの境界線が無くなった――この世にもうひとつの生きていく世界。そこでふたりのかけがえのない命の営みが純真無垢な余韻を残す、言葉を超えた感動的なSF小説です。
読了したので書きます。
SF、医療、ミステリー、恋愛……。複数の要素が合わさった作品でこれだけ詰めてしまうと何某かの不具合が生じてしまいそうなものですが、この『Perfect Reboot(パーフェクト・リブート)』は設定がしっかりと練られています。そして、他の方がレビューに書かれているように家族の温かさが存在します。
最初こそSFと医療の要素が強め、中盤からミステリーの要素が顔を出してきます。しかも、物語の軸が一気に変わってしまうほどのダイナミクスであるのにまるで違和感がありません。寧ろ、読む手を加速させてくれます。
小春が入院する原因になった出来事、ミズキの正体……。
色々と書きたいですが、あまり書きすぎるとネタバレになってしまうので実際に読んでいただければと思います。
短編なので読むのに時間はかからないと思います。是非とも、読了後のカタルシスを味わってほしいと思える作品です!!
医療用仮想空間《パーフェクト・リブート》
記憶や感情が再構成される場所。
そこは静かに傷を癒す場所でもあった。
小春の「感覚」は再起動し、パーフェクト・リブートで目覚めた。
ほとんどの記憶は思い出せる。ただ、昏睡の原因となった事故の記憶だけは失われていた。
どこか不鮮明な解像度を思わせるノスタルジックなその世界に、不思議な少年ミズキが当たり前のように存在している。
少しずつ鮮明になる記憶。
事故が殺人であった可能性。
それにミズキが関わっていたかもしれないという疑惑。
ミズキは、この仮想世界で、助け導いてくれた人。
ミズキを信じたい。
人工的な「深まる秋」に、小春はミズキに出会い、人工的な「冬」に再会を約束し別れる。
残された小春は、悲しみにくれて現実に戻る日を待ちわびる。
そして「本物の冬」に、君を探しはじめた。
SFというジャンルだけでは語れない、人の想いがあります。
短めの物語なので、エピローグまで読んでください。
そこに溢れる想いの尊さに、言葉を失いました。
正直言って私はこの作品のことを思い出したくはありません。
思い出すと胸が締め付けられるからです。
そんな私が本作をレビューのために頭から再読しました。
一人でも多くの方に読んでいただきたい作品だからです。
初恋など記憶の遥か彼方にとうに消えた、汚れた大人である私の心を、この物語は締め付けるのです。
深層同期制御装置によって記憶や感情が再構成される、もうひとつの世界の物語。
これだけ見れば本作はSFです。
しかしただのSFではない。
SFの垣根を越えて切ない物語が、ここにあるのです。
静けさの中で感傷的になって眠れない夜こそ、ぜひ本作を読んでいただきたい。
切実で温かい言葉がきっと、あなたの心を包むでしょう。
眠り姫のお伽話のように美しい物語です。
SFやミステリー、恋愛、成長、多くの要素を詰め込んだ短編小説です。
読む者は、その多様で鮮やかな展開に翻弄されながら、物語世界へと連れて行かれることでしょう。
昏睡状態の女子高生、小春。
だけど、その意識は医療用仮想空間《パーフェクト・リブート》の中にありました。
その世界で知り合った少年〝ミズキ〟
彼との出会いが、小春の心境を大きく変えていくこととなるのです。
小春が昏睡状態にある原因は、なにか。
小春は再び現実世界で目覚める事ができるのか。
そしてミズキとは何者で、小春とどう関わっていくのか。
この物語を読む者は幾つもの謎を抱えながら、丹念に描かれる小春の心の裡を見つめるとことなります。
繊細で心情に響くその描写は、きっとどなたの心にも、切なさを越える爽やかな感動をもたらすことでしょう。
この物語には喪失と再生を繰り返す人間の素晴らしさがあります。
どうぞ、ご覧くださいますように。
小春が昏睡になった事故または事件。
そこに中盤のおどろきがありました。
パーフェクト・リブートにやってくる人たちは、医療の場所からとまどいながら世界を知って馴染み始めます。
小春は、事故から何年経ったかわからない――と感じながらも、現実とのやりとりができるようになり、希望が明るく見え始める。
一方で「消える人」は、回復と死との二択であることも知る。
読者はきっと小春がどんな事故に遭ったのか、今がいつなのか(これはわりとあっさりわかります!)、ミズキとは誰なのか。そして現実で小春はミズキと再会できるのか。気になると思います。
ちゃんとすべてが描かれます。
遷延性意識障害。
重度の昏睡状態を指す症状。
植物状態、通称ベジといわれる状態のこと。
主人公の少女、天辰小春は
現実には昏睡状態。
その意識は
『パーフェクト・リブート』
と呼ばれる仮想空間に接続されている。
意識だけがここに送り出され、体は病室で静かに時を刻んでいる。
小春は仮想空間で
もう1人の主人公、少年·ミズキと出会う。
穏やかな日々の中でお互い励まし合い、惹かれ合う2人。
2人は昏睡状態から目を覚まし、再起動(リブート)することができるのか···
昏睡状態の人間は目を覚ます可能性は低いです。
自力で覚醒するしかないのですから。
この世界では、昏睡状態の人間の心理に直接アクセスして、サポートしながら、再起動を目指します。心理状態と、現実の肉体の回復を見ながらの治療は画期的なシステムです。
作者様は、物書きの目から見ると、大変魅力的な世界を構築されました。
このお作品は、少女が昏睡状態になった原因のミステリー要素。それに2人の主人公の葛藤をていねいに穏やかなに描いていきます。
ただ、優しくキレイなだけでは収まらない現実の厳しさをここまで、静かに力強く描かれたお作品は他に見たことがありません。
ぜひ、お読みになってください。
タイトルにある『パーフェクト・リブート』――それは、意識障害などで昏睡状態にある患者たちが、意識だけを送り込まれ、過ごすことになる仮想空間。
主人公の女子高生・小春も、ある日突然の事故により昏睡状態に陥り、この仮想空間での生活を余儀なくされます。
この世界では、仮想空間での証言が現実でも公的に認められる社会。事故当時の記憶を少しずつ取り戻すため、小春は“再起動”の時を待ちつつ、日々を重ねていきます。
そんな彼女の前に現れたのが、どこか不思議な雰囲気を纏った少年・ミズキ。親身に寄り添う彼の存在に、小春の心は次第に惹かれていきます。
この物語、一言で表すなら、「とても温かい作品」です。
現実世界から届けられる、家族、親友、担当医師たちからのメッセージ。その一つひとつが、小春の心を静かに、しかし確かに支えていきます。そして、ミズキとの淡くも深い恋の行方。やがて事故の真相が明かされ、そこからさらに明らかになる事実――予想を超える展開へと繋がっていきます。
その結末は、ぜひ作品の中でお確かめください。
脳の電気信号情報や仮想現実の世界が発展したならば、このような将来像ももしやあり得るのかもしれない、と思いつつ本作を読ませていただきました。
臨死体験という一種の非現実的世界を、仮想現実という形で彩るというアイディア、なかなか面白いですね。
そして、その仮想現実の世界でミズキと接触したことで主人公の世界が彩られていく様、しかしその一方で彼には何かあるのではと思わせる影など、キャラクターの彩り方が実に巧みであるように感じます。
そして、読者の思う一抹の疑念が真実へと辿り着いた時のカタルシスが、実に良き余韻を引き出してくれます。
ミズキという存在に始まり、ミズキという存在に終わる。
そんなお話の結末を、あなたも見届けてみてください。
もしも昏睡状態となったとしたら
想像するだけで絶望してしまう
だけどもしも
眠った夢の中にもう一つの世界があったなら
仮想空間で意識を取り戻した少女
少女は夢のような空間で少年と出会う
もう一つの世界で見つける希望
触れ合う意識の中に芽生える想い
未来へと想いを紡ごうとする二人の心
嘘という優しくて切ない心の形
やがてくる別れの時に誓う再会
そして再起動(リブート)する心
心の形はあふれる涙のように
ぬくもりを感じる鼓動のように
仮想と現実で交差する二人の想い
切なくも甘く優しく伝えたい想い
心が震える二人の恋物語を見届けてください♪