襲撃前 下

山本の部屋は同い年とは思えないほど凄まじかった。

壁紙はわざわざ大理石のような壁紙だった。ここの寮室のグレードがちょっぴり高いからなのか1LDK、お風呂付きのようだ。しかし、壁紙だけじゃなく家具のほうも全然普通じゃないな。ほとんどがシックなアンティーク家具のレプリカだ。ここまで上質だと普通の家具の方がおかしいか。そう思いながら、一個の埃も見逃さない勢いで隈なく探している委員長と子犬を見ていた。

「おい、水里。お前も探せ。」

委員長に怒られてしまったので私は寝室に移動する。

寝室にはクローゼットとベッドしかなかった。

クローゼットの扉を開けた。そこには、制服しか掛けていなかった。そこには、髪留めや帽子の一つもなかった。

もう一つの物体であるベッドに目を向けた。

寝室に置いてあったベッドはとても豪華に見えた。ベッドもアンティーク調なのは同じだが、そのベッドには天蓋があった。

「あいつは結構な小心者だったのかな?」

「いや、女傑だろう。普通は天蓋付きベッドなんて買わない。それにこんなベッドを置くほどこの部屋は大きくない。」

私が呟いた一言に委員長がそう答えてくれた。

「そんなにベッドを見つめて何か見つけたのか?」

「いや、このベッドを作った業者はどこかな~って思って。」

「そうか。」

「ここにはなかったけどそっちにはあった?」

少しだけ希望を抱いて質問したが、委員長は首を振った。

「いや、怪しいものは無し。SDカードのたぐいも無くて前田は荒れてる。正直、山本が目を覚ますまで何も分からないな。」

「だが、評判からして、脅した相手を白状するか?花蓮さんについては言いそうだが。」

その言葉ないいて委員長は頭を抱えた。

「そーなんだよなー。」

溜息を深くついて委員長は天を仰いだ。

「茜ちゃん、山本って髪留めってどれくらいの頻度でつけてた?」

「茜ちゃんって言うなー。ああ、毎日色違いの髪留めを一週間のローテで7色つけてたな。前田!山本の髪留めって7色だったよな。」

隣の部屋からかわいい声が聞こえてきた。

「はい!そうです。でも、着ける順番はグチャグチャでしたし、着けない日もあったそうですよ!」

「だそうだ。無くなったカチューシャについて気になるのか?」

「うん?まぁ、そんな感じ。」

委員長は少し疑いの目を向けたがすぐに逸らした。

「おーい、前田。そっちの進捗はどうだ。」

「なにもないことが分かりました。」

少し焦っているような印象を受けた。

委員長は私のほうを向いて、

「少し遅いが、昼飯いや夕食を食べにいくか?」

と聞いてきた。

「うん。まぁいいんじゃない?前田さん!委員長が奢ってくれるらしいからここらへんで一旦切り上げて、ご飯を食いに行こう!」

「おい!お前は奢らないぞ!」

「けちー。まぁいいけど。」

「はい!分かりました。」

元気よく前田さんが返事をして、ご飯を食べに行くことが決定した。

「まあ、その前にこの部屋を綺麗にしてからだな。」

全員でひっくり返った部屋を綺麗にしてから部屋を出た。

「ご飯はどこに行く予定ですか?」

「一応、本部がある第一校区の店に行くぞ。たしか、『ガンバるーや』ってところだ。」

「へぇー。『ガンバるーや』ですか。あそこって夜しかやっていないイメージです。」

「まぁ、夜は一応バーとして店を出しているからな。しかし、昼はレストランとして結構知られているな。」

「おすすめとかって何かあるんですか。」

「ああ、おすすm

その瞬間、私たちが乗っていたタクシーは爆発した。

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