瞬撃
頭が割れるように痛い。
目の前は煙が充満しており、鼻を不快な匂いが纏わりつき、目を充血させる。周辺の様子は分からないが悲鳴は聞こえない。
「水里!」
近くで私を大声で呼ぶ委員長の声が聞こえた。
「私は無事だ!前田さんは?!」
「前田なら私が庇ったから無事だ。気絶しているがな。」
「それは良かった。」
私たちの生存確認が済むと急に煙が晴れた。
私はすぐに辺りを見渡して、委員長たちとあまり離れていなかったことと周りに黒ずくめがいることを確認した。
「君たちは何だい?黒魔術研究会の黒ミサにでも参加した帰りかい?」
真剣に尋ねてみると、黒ずくめの一団は失笑した。
「なにが可笑しい。」
前田さんを介抱しながら、委員長は黒ずくめを睨んだ。
すると、黒ずくめの一団から笑いながら一人が前に出てきた。
「ふっふっふ、こんな事態なのに冗談を言えるのはさすが風紀委員だと称賛しましょう。「いや、普通にこの近くで黒魔術研究会が新入生歓迎会として黒ミサを開いていて、ちょうど終わってから数分しか経っていないからだが。」ふふっ、まぁそんなことはどうでもいい。あなたたちはとあるデータを入手したはずだ、いや、した!さっさとそのデータを渡せ!」
「いや、持っていないが?」
「嘘をつくな!まぁいいでしょう。貴女たちを殺してから聞けばいい。」
すると、黒ずくめの全員が武器を構えた。
「私がヤルから、茜は前田さんを頼むよ。」
「殺すなよ。」
「分かってる。」
私は黒ずくめに突進した。
さっきまで喋っていた男?はギョッとした顔を見せたがすぐに気を失った。クリティカル攻撃でノックアウトしたからだ。
一体目を倒した勢いで二体目に迫った。二体目は棒のような物を取り出した。スタンガンのようだが、すぐにその手から奪い取り電流を流してK,O。
そこからは消化試合となった。スタンガンをあて続けたらすぐに戦闘不能になるのだ。道に横たわっている黒ずくめを一か所に集めた後、少しもひび割れなかったスマホで救護委員会を呼んだ。
「終わったか?」
委員長が戦っているうちにピンピンになった私に近づいてきた。
「終わった。今、救護を呼んだよ。ケガしまくりの犯罪者が15人もいるって言ったら、委員長自らすっ飛んで行くらしい。あと、1分で着くんじゃない?」
「ああ、そうか。」
委員長は少しくたびれたように上を向いて、溜息をついた。
「前田さんは?」
「ああ、まえd「隙あり!」「ないよ。」
バチバチバチ
おおっ、容赦ないな。」
「前田は大丈夫そうだが、まぁ救護に預ければいいだろ。」
ぷぱーぷぱーぷぱー
少ししか委員長と言葉を交わしていないのに救護のサイレンが聞こえてきた。
「早すぎるでしょ。」
「まぁ、学園都市に走っている車って、タクシーぐらいしかないから緊急車両はスピード出せるから。」
「いつ聞いてもあの音はどうにかならなかったのか?」
「本当は救急車のサイレンを使おうとしてたらしいよ。でも、許可が下りなかったから音をずらしたんだって。まぁ、学生だしね。」
「なら、音の種類だけでも似せろよ。人の声をサイレンにするなよ。」
「あれって年度の委員長の声になっているらしいよ。」
「なんだその無駄な知識は。」
「花に教えてもらった。」
「あっそう。」
そうこうしているうちに救護の緊急車両が私たちの前に停まった。
そして、車の中から数人の救護委員が出てきた。その中の一人が前に出てくると私たちに話しかけてきた。
「尼子ちゃんに茜ちゃんも結構ボロボロじゃない。」
「二色くん「花ちゃんもしくは花ね。あっでも二色さんでもいいわ。」ああ、二色さん、ここの犯罪者たちの前にあそこに寝かしている前田さんを運んでくれないか。」
「ええ、もちろん!」
そう言ってウィンクをすると、他の委員に指示し始めた。
「あれが今年の委員長か?というかお前は面識があったのか!?」
「いや、茜ちゃんも面識はあるはずだよ?」
「はぁ?いや、あんな長身イケメン女装男は知らないぞ!同じ苗字の奴は知っているが!」
そんな茜ちゃんにヤレヤレと首を振って去年の花の写真を見せた。
「この子だよ!校区が違うからって忘れちゃうのはめっ!だよ。」
その瞬間、委員長の目が飛び出た。
「fdsdbなhふsdhfdん」
壊れた。正直、連絡は取りあってると思っていたがそういうわけではなかったらしい。
「なぜ!あの子があんな美青年にっ!」
「成長期だってさ。」
「そんなわけあるか!まてよ。お前、なぜ、あの子があんなんになったことを知っている!吐け!」
委員長は私の肩を掴み、めちゃくちゃ揺らしてきた。
「ちょい待ち、気分がああああ」
やばいリバースすr
「だめですよ。北方先輩。」
そう言って花は奴の腕を握って止めてくれた。
「おう!おおう。すまないな。水里。」
「別にええよ。そう言えば、二色くんは北方委員長の隣に立てるような男になったなぁ」
その言葉を聞いて、花は顔を赤くして視線を逸らした。ええ、反応するなぁ^^
「ちょっと、水里先輩、やめてください。」
少し腰をクネクネさせながら私の背中を力いっぱいひっぱたいた。照れ隠しと怒りを乗せた、良いビンタだった。
茜ちゃんのほうは宇宙猫状態だった。
「北方先輩もあまり気にしないd「隙あり!」
「ないよ」
「ないぞ」
「ないですよ。前田さんも乗せましたし、護送車も到着したからさっさと乗せちゃいましょう。」
「「「「ないです」」」」
「ひっ」
「よし!そうだな。」
委員長の鶴の一声で周りの救護委員がすごいスピードで犯罪者たちを護送車に放り込んでいった。
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