5:救世主とエリクサー《sideアリス》

「どもども〜Aランクダンジョン配信者のアリスだよ〜今回は事前に予告したようにダンジョン初心者向けにダンジョン講座をやってくよ〜!」


私の名前はアリス

高校生にして最年少のAランク探索者であり、もうすぐ登録者が500万に到達する配信者

先日、ダンジョン省からダンジョンで亡くなる若者が増えているからとFランクダンジョンで講座を開くことになった

あの人達ホント人使いが荒い!

それにしてもこのダンジョン嫌な感じがするのよね...

まあ、Fランクダンジョンだから何も無いと思うけど


「それじゃあまず最初の敵の定番のゴブリンは......」



♢♢♢配信開始から25分経過後♢♢♢


おかしい

明らかにおかしい!

敵が少ないし、所々敵のドロップアイテムが落ちてるし、モンスターのレベルも高いし、弱まることの無い嫌な気配...

このダンジョンに一体何が起きてるの!?

(A、最初の2つは金斗が暴れているから)


:なあ明らかにおかしくない?

:レベルが明らかに高すぎる

:アリスちゃんやばそうなら逃げてね!


ここら辺で視聴者も気づき始めた

これは警戒をマックスで行こう


「ちょっとこのダンジョンが変になってきましたね...何が知ってる人います?」


:知らない

:知らない

:友達に聞いてみたらそのダンジョンに連城金斗ってのがいるらしい

:誰?

:今日初めての初心者らしい

:あートレンドにいたやつか


連城金斗?

まあ初心者がこのダンジョンに来るのは当然か

でもここに来るまでにそんな人は見てない...

初心者なのにかなり奥深くに潜って...


:アリスちゃん危ない!

:そこから離れて!

:転移魔法陣がある!


「え?」


咄嗟に足元を確認すると輝く魔法陣がそこにあった

急いで離れようとするが反応が遅かったためか間に合わない



♢♢♢


転移魔法陣で飛ばされたのはボス部屋の前

既に引き返せない所に居た


Fランクダンジョンで起こりえないことが起きているのでボスも油断出来ないだろう。

せめてBランク以下のボスがいいという願いも虚しく目の前にいたのはSランクのミノタウロス


そして気づいた時には倒れていた


いつ攻撃されたかも分からず

為す術なくやられた


ドローンは転移に巻き込まれず上にいるため、この情報を伝えることも出来ない

完全に詰みだ


「せ...せめて......恋をしてから......死にたかったな...」


誰にも届かない声

誰も、これ以上犠牲者が増えないで欲しいと願っていた時


「先手必勝!」


男性の声が響き渡ると共に、ものすごい魔力を帯びた何かが弾丸のような速度で飛んできた


ミノタウロスは向こうに気づき突進する


「に...逃げて...」


必死に叫ぶが声が出ない

恐らく届いていないだろう

仮に届いたとしても逃げ道はない

あぁ...また犠牲者が...


そして男性は吹き飛ばされて鈍い音と共に壁に叩きつけられていた。

しかし彼は生きていた

するとカバンから何かを取り出した


「!?」


今まで感じたことの無いほど大きな魔力

しかし敵意のあるものではない

ポーションのような魔力だった

彼はそれを飲み干すと


何かを叫びながらミノタウロスの顔面を殴る

彼の右腕は無くなったが、ミノタウロスも吹き飛び壁に激突する

そして気づいたら彼の右腕は治っていた

ポーションを飲んだ気配も回復魔法を使った気配もなかった

そして治った右腕で斧を持ち上げミノタウロスにトドメを刺した


「すごい...」


しかし安堵のせいかここで意識は途絶えた



♢♢♢


目を覚ますとさっきと同じボス部屋にいた


「お、良かった起きた!」


「!?」


急に声をかけられ咄嗟に距離をとる

よく見ると声をかけてきたのはさっきのミノタウロスを倒した男性だった

そしてここで傷が治ってることに気づく


「...治してくれたのはあなたですか?」


「ん?あぁそうだよ」


私は内蔵の損傷や足が折れていたりしたのでかなり品質の良いポーションだろう


「使ったのはかなり品質の良いポーションだったでしょう?そんな貴重なものを私なんかのためにすいません...」


「いや大丈夫、道中で手に入れたものだから。たしか...エリクサーって言ったかな?」


「エリクサー!?」


世界的に有名な伝説級のアイテムを他人に使うとはすごい人だなと思いつつ、彼の戦闘中のことを思い出す

ものすごい魔力を帯びたポーション、あれもエリクサーだろう。そうすればそのあとの腕が生えてきたのも説明ができる。あの時エリクサーを飲んで低確率不死身を引いたのだろう

しかし問題はそこでは無い。つまり彼はA級の超越種かS級をミノタウロス以外に1体は倒していることになる。

そんなことが出来るのは私が知る限りSランク探索者だが、そんな人がこんな初心者ダンジョンにいるとは思えない

しかも彼は初心者の配布装備を着ている

ということはコメント欄で書かれていた連城金斗という人物である可能性が高い


「...化け物」


ついそんな言葉がこぼれる


「ん?どうした?なんか言ったか?」


「いや、なんでもない」


「そうか、んじゃあ帰るか。お前歩けるか?」


「そりゃエリクサーで治してもらいましたから...」


「そうかじゃあ心配いらねえな」


「え?」


「んじゃまたな〜」


そう言い残し彼は帰って行った


「ステータス」


《アリス》

LEVEL 35

MP 43/3512

攻撃力103

俊敏 139

防御力98

器用 133

知能 201


「ん?」


ステータス欄にHP表示がない?


「バグかな...まさか......まさかねぇ...」


ひとつ限りなく高い可能性が思い浮かんだが、考えないようにし、家に帰った




こうしてこの日、世界中に数少ない、不老不死の人間が2人誕生した






あとがき

少し前回の内容を変え、かつ修正を入れました

少し淡白な感じになってしまってすいません

中間考査間近で頭が少し回っておりません

ぜひ星とコメントお願いします!

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