第12話

「好き」


「うん…」


「だいすき」


「……うん。知ってる」



そう言って笑って、俺の頬に手を当てる雪枝。



優しい雪枝の笑顔と香りに、少し泣きそうになった。



こんなに温かい人がそばにいてくれるのに、なんで求めてばっかりだったんだろう。



なんで、もっと雪枝のことちゃんと知ろうと思わなかったんだろう。



「陽斗」


「…っ」


「ちゃんと言ってなくてごめん」



雪枝が腰に手を回してぎゅっと俺を抱きしめる。



「私、こう見えて不器用なの。きっとそのせいでたくさん…陽斗に迷惑かけちゃったね」



その言葉にぶんぶんと首を振った。


そしたらふっと吹きだすように、雪枝は笑った。



「言葉にすると怖かった。言葉で突き放されそうで」


「そんなことしないよ…」


「ごめんね。疑ってたのは私の方だった」



抱きしめる腕の力が強くなる。


それと同時に体の震えもでてきた。



そんな雪枝を包み込むように抱きしめた。




「私…ちゃんと覚えてるよ」


「…なにを?」


「告白されたことも、初めてデートしたことも、キスをしたことも、体を重ねた日のことも」


「………」


「全部初めてだったの。それを全部、陽斗がくれた」



声が震えてる。


泣いて…るのかな……?





「一生、忘れない」

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