第11話
どきっとして声がした方に振り返った。
そこにはいつものようにきょとんとした顔の雪枝がいた。
どうしてここに俺がいるのか不思議そうに。
「あ、雪枝姉おかえりー」
「なっちゃん夕飯は?」
「今から買いに行ってくるよ。何がいい?」
「んー、ロールキャベツ」
「了解。じゃあ行ってくる。またね、陽斗さん」
夏生はパーカーのポケットに手を突っ込みながら、スーパーの方へ歩いて行ってしまた。
すれ違いざまに“がんばれ”と耳元で呟かれた。
それを聞いて、ぎゅっと拳を握る。
その手の中は少し汗ばんでる。
緊張する。とっても。
まるで、
雪枝に告白する時みたい。
「陽斗?」
動かないし、一切雪枝の方を見ない俺を不思議に思ったのか、
雪枝がゆっくり近づいてきた。
俺はその手をぎゅっと握った。
「陽斗?」
「さっき…ごめん」
「え…?」
「ごめん」
自分がこんなにわがままだったなんて知らなかった。
ひどいことを言って雪枝を傷つけた。
「わかってたのに」
「え?」
「言葉をもらわなくたって…わかってたはずなのに」
「………」
言葉にしてほしかったのは、それが一番わかりやすい愛の形だから。
安心したかったんだ。
雪枝の言葉で。
雪枝は可愛くて、綺麗で、人気者で隙がなくて。
そんな雪枝に、
本当に好きでいてもらえてるのか不安で。
勝手に好きになって、
勝手に不安になって、
納得いかない気持ちを吐露し続けてきた俺は、なんて情けないんだろう。
「陽斗…」
「雪枝。俺は…」
ドキドキする。
目の前に雪枝がいることが幸せだと思う。
嗚呼なんだ。
何1つ変わってない。
俺はこんなに…。
「雪枝が好きだよ」
「っ」
…こんなに好きなんだ。
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