第14話

―――――――……








「ねー秋都さんこの仕事終わったら飲みに行きましょーよぉー」


「行きません」


「えー同じ屋根の下で過ごした仲じゃないですか」


「過ごしてないし、あの日はちゃんと家に帰したでしょ」


「ふふふー、なんか今のあたしたち恋人みたいな会話っすねー」


「っ、なにそれ」




外回りの帰り道。

しとしとと冷たい雨が都会のアスファルトをぬらしていく。


またあの重そうなカバンを肩からぶら下げて、倫はうざったいくらいにくっついて歩こうとする。

っていうか傘に入ってこようとしてうざい。



「ああ!!」


「突然何」


「秋都さんあそこのパンケーキ屋行きましょう!前からテレビで見て行きたかったんです!!」


「1人で行けよ。てか今仕事中…」


「今じゃなきゃ駄目なんです!!今行きましょう!!」


「もーなんなんだよっ」



しつこいくらい絡み付いてくる倫の腕を何度も振りほどきながら歩いていると、たまたま目の前にあった病院から1人の女性が出てくるのが目に入った。



お腹のさすりながら出てくるところを見ると、多分妊婦だ。



なんだか見覚えがあるような気がしてじっと彼女を見ていると、ぱっとその女性と目が会った。




「あ…」


「え…?」




…なんで、なんですぐに気づかなかったんだろう。



雨のせいだろうか。



ずっと一緒にいたのに。

誰よりも、この人の幸せを願っていたはずなのに。




「紗枝…?」

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