第13話

寝室を出て再びリビングに戻ると持ち前の要領のよさを一瞬で発揮したのか、テーブルにはもうすでに何種類もの料理がずらりと並んでいた。


しかもどれも美味しそうで、あのじゃがりこ娘から想像もつかないほどの出来栄え。




「はい、あなたビールどうぞ」


「誰があなただ」


「いちいち細けぇなー。こういうノリぐらい上手くできなきゃモテないっすよー」


「うるせー」




渋々ついでもらったビールはキンキンに冷えていて、持っていたグラスも冷たかった。

きっと少しだけグラスと一緒に冷凍室に入れていたんだろう。

こういう気遣いが不思議とできてしまうのが倫がうちの会社を首にならない1つの理由だろう。


しばらく酒をやめていたけれど、なんだか今日はどうしようもなく飲みたい気分になって無理矢理乾杯させられたグラスを一気に飲み干して空けてしまった。




「うわビールうまっ」


「あたしがいれましたから」


「てかこのエビチリいつ作ったの」


「エビチリなんて5分あればできますよ」


「お前はエビの皮むき達人か」




そう言いつつエビチリを口に運ぶ。





………。






「どうすか」


「………」


「どうすか」


「……うまい」


「ふふっ、でしょー」


「………」




なにこれ。

うわーなにこのギャップ。


いやほんと。


今まで食べたことないくらい倫が作ったエビチリはうまかった。



もちろん他の料理も。


最近手作り料理を食べてないせいか、味覚が麻痺してしまっていたんではないだろうかと思うくらい、すべての料理が美味しくて仕方がなかった。



倫は今まで見せたことのないくらい嬉しそうな顔で、料理を頬張る俺を見ていた。




「どう?惚れました?」


「惚れません」


「またまた照れちゃってー。いつでもあたしは準備できてますから」


「…なにそれ」


「ふふ」




意味深に笑う倫。



そして俺に近づき、耳元で囁いた。






「好きですよ、秋都さん」





…倫は、本当に何を考えているのかわからないやつだ。

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