第12話

「ここが秋都さんの寝室すか」


「うわっ、なんだよ急に入ってくんなバカ」


「ちっ、着替えは終わってましたかー」


「なに狙ってんだよ」


「1人にしてはでかすぎるベッドですねー。つか電気つけましょーよ暗いな」


「………」



倫がつけた電気が眩しくて俺は俯いた。


その隙にずずいと寝室に入ってきた倫はぐるりと部屋を見回してあるものを見つけた。



「これ元カノすか」


「っ」




紗枝との、昔の写真だった。



引き出しの奥にしまっていたのにいつの間にとったんだ。




俺はそれを無理矢理とりあげて、そのままゴミ箱に捨てた。



「入社当時から付き合ってた彼女っすよね。ちゃんと見たの初めてです」


「勝手に見んなよ」


「いいんすか、捨てて」


「いいよ。もういらない」


「いらない思い出なんて、1つもないですよ」


「…お前に何がわかんだよ」


「秋都さんにとって、その女性がとても大事な人だってことはわかります」


「………」




いつものおちゃらけた表情の倫はそこにはいなかった。


感情の読み取れない眼鏡のその向こうにある瞳は、冷え切ったように俺を見つめていた。




そして細い指でゴミ箱から写真をとりあげ、もとあった場所に戻しその引き出しを閉めた。





「彼女…巨乳すね」





冷たい瞳をしたかと思えば、この言葉。





「………」




ホント、なに考えてんだかわからない女だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る