第4話

2年半経って、彼女はどれくらい変わっただろうか。


もう俺のことなんて忘れて、違う誰かと幸せになってるのかな。




幸せですか?

元気ですか?




ただそれだけが知りたかった。



だから、

だから俺は、携帯の発信ボタンを押した。





日曜日のまっ昼間。




こんなときに、君に繋がるだろうか。


コールが鳴るたびにドキドキした。





『はい、もしもし』


「っ」



繋がった。




――だけど、その声は彼女じゃなかった。


彼女じゃなかったんだ。





「すみません。間違えました」


『え?』




そう言って切った電話。



声の主は男の人だった。


聞いたこともない声。



やっぱり彼女は携帯を変えたんだ。




通じるわけない。

彼女に、もう会えるわけない。



「ふはっ…馬鹿みたい」



自分を嘲笑って携帯を閉じた。



笑える。

本当笑える。



だけど、苦しい。

苦しかった。


どうすることもできない痛みだった。



もう2年半…2年半も経ってるのに。



なにこれ。

おかしい。



「おかしいって…」




寒くもないのに布団にもぐりこんだ。


痛みを隠したかった。

自分自身を隠したかった。



だってこんなの恥ずかしい。

全部全部自分のせいなのに。



この痛みも、悲しみも、寂しさも全部、自分が悪いのに。




携帯をぎゅっと握りしめる。




「っ、」



――その瞬間、今度は俺の携帯に着信がきた。



それはまさに、さっき俺がかけた電話番号。


誰とも知らない男の人が出た電話の番号だ。



表示されているのは、彼女の名前。



少しためらいつつ、その電話に出た。





「はい…?」


『…もしもし』


「っ、え?」




だけど電話の向こう側から聞こえたのは、さっきの男性の声じゃなかった。

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