第3話
「なんて…」
自分を嘲笑して窓に手をつき、煙草をふかした。
彼女と別れてから吸いだした煙草。
いや、違うな。
あいつが嫌いだって言ったからやめたんだ。
酔った俺を介抱するのが嫌だって言うから酒もやめた。
あんなに好きだったのに、煙草も酒も。
彼女のためならできたこと。
彼女だったから…できた。
「あー…」
一吸いして、煙草の火を消した。
髪をくしゃくしゃにかいてベッドに寝転がる。
顔のすぐ横には携帯電話。
あいつとおそろいだった。
もうあっちは変えちゃったかな。
今はみんなスマホだし、そっちの方が便利だし。
それでも俺がこの携帯を変えられないのは、なんでだろう。
…その携帯を手に取った。
電話帳から彼女の名前を出す。
久々に見た彼女のフルネーム。
この名前が携帯に浮かぶたびに、嬉しかったなあの時は。
一緒に暮らし始めてからメールも電話も減ったけど、それでも嬉しかったよ。
たくさんの絵文字がちかちかしてちょっとうざかったけど、それはそれで彼女らしかった。
声が、間接的に聞こえるのはドキドキした。
だからこそ、一緒に暮らし始めた時はもっともっと幸せだった。
聞きたくない時にすら君の声が聞けるのは、なんて贅沢なことなんだろう。
今さら。
今さらだ。
何度も自分に言い聞かせた。
これでいいんだと。
もう遅いと。
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