第2話

変なの。


なんで俺、今更こんなこと考えてんだろ。


きっと雨のせいだ。


あの日も雨だったから。



俺と彼女が、別れた日。




確か、あの日も俺の仕事が遅かったんだっけ。


おまけに大雨で電車が止まっててさ、タクシーで帰ってきたら「もったいない」って怒られたんだ。


意味わからん。



じゃあ一体どうやって帰るんだよ。

って、そこからまた喧嘩になってさ。



お互い仕事やらなんやらでストレスが溜まってて、心にもないこと言ったりなんかして、雨の中「もういい」って言った彼女が家を出て行ったんだ。



追いかければよかったのに、俺は明日の朝仕事が早かったから、どうせいつものことだと思って、そのまま気にせずに寝たんだ。



彼女がそのまま帰ってこないことなんて、知りもしないで。



部屋の荷物がどんどんなくなっていって、本当いつ取りにきてんだよって思ってた。



2年半経った今、彼女がいた形跡はほとんどない。




俺は昔からどこか冷め切った性格をしてて、彼女にもあまり優しくしてあげられなかった。


それでも彼女は当たり前のようにそばにいて、そばで笑っててくれた。



それが単純に嬉しくて、

どんどん広くなっていく自分の部屋を見るのは、単純に寂しかったんだと思う。



心にもない言葉で、君を傷付けたのは…寂しさのあまり。



そう気づいたのは、雨があがった次の日の朝……、今みたいにまさに……虹がかかっていた時。




君を思い出したのは雨のせいじゃない、虹のせいだった。



好きだった。1番好きだったから、1番傷つけることも多かったよね。

甘えてたんだ。




そんな風にいいわけできるのは、今だから。




今なら、どうだろう。



お互い会わなくなって、距離をおいて、新しい環境で暮らして、そんな今なら…あの日を越えられるかな。



俺は、彼女を追いかけるだろうか。


雨の中、濡れるのも気にせず走り抜けて、その手を掴んで抱きしめて。


ごめん、とただ一言言えたなら、一緒にこんなに綺麗な虹を、見ることができたのだろうか。

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