第44話

「う、食べ過ぎた」



部活帰りで実はかなりお腹が空いていた私は1000円をほとんど使い切る勢いでげそとやきそばとたこ焼きを食べた。


それプラス梓からもわたあめや当たったりんご飴をもらったからかなり食べてる。



「み、水…」



とにかく流し込むものが欲しかった私は近くのスーパーに入った。


急いで飲料コーナーへ向かうと角を曲がったところで大きな影にぶつかった。



「わっ」


「あぶ…」



あまりに大きかったから思わず後ろに転びそうになった時、誰かにぐっと手首を引っ張られた。


ばっと顔をあげると、そこには驚いた表情をした朝日先輩がいた。



「紫乃?」


「えっ、せ、先輩?」


「ごめん、痛くなかった?」


「あ、大丈夫です。すみません」



まさか会いたいと思っていた人に、夏祭りではなくてスーパーで会うなんて思ってもみなかった。


先輩は買い物カゴにいっぱいのおかずをいれていた。

まるで主婦だ。



「先輩なにしてるんですか」


「見てのとおり買い物。今日俺当番」


「え?当番?」


「紫乃は?」


「あ、私は夏祭りで食べ過ぎて水買いに…」


「ああ夏祭りね、誘われたけど断ったわ」


「なんでですか」


「人多いところ苦手」



想像するだけで疲れると言った先輩はTシャツにスウェットというラフな格好をしていた。



「あの、当番って?」


「あー親遅いから。弟たちに食べさせないと」


「弟って美景君?」


「うん。もう1人下にいるけどね」


「3人兄弟?」


「そ」



美景君の下にもう1人弟がいるだなんて初めて知った。


っていうか先輩はこの辺に住んでいるのだろうか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る