fly by fly can high

1:朝日

第37話

私の好きな人は、年上の女性としか付き合わないらしい。



もうこの時点で除外だけど、私の恋がどれだけ無謀か聞いて欲しい。




巨乳で美人な人が好きらしい。

髪が長くて肌が白い人が好きらしい。

頭が良くて、落ち着きのあって、いい香りがして…。



私は、私の好きな人…朝日先輩の2つ年下。


貧乳で美人だなんて言われたことは一度もない。

髪も肩につかないほど短いし、陸上部だから肌は黒い。

頭は悪いし、いつも騒がしいし、香水のことに関してなんてまったくの無知だ。




私はきっと、一度だって先輩の瞳に映ったことはないんだろう。




もう絶望的だ。どう考えても無理。




でも…、この恋はどうしても、諦めることができない。





―――――――……





「朝日先輩、おはようございます!今日もかっこいいですね!!」


「あー…はよー」


「その寝癖もとっても素敵です!!」


「はいはい、ありがとー」



朝8時25分。


いつも登校時間ぎりぎりにくる先輩に合わせ始めてから3ヶ月が経った。


先輩は大きなてのひらで、頭2個分小さい私の頭をぽんっと軽く叩いた。


先輩は身長が大きい。多分185センチくらいある。

陸上の走り高跳びの選手で、中学時代は地区大会の記録も持っていた。



私は中学1年生の時、当時3年生だった先輩のハイジャンを県大会で見て、それがかっこよくて、憧れて、同じように高跳びを始めた。


先輩を追いかけて、めちゃくちゃ勉強して、陸上が強い難関高校に入学した。



私は早速陸上部入って、先輩を探した。


もちろん先輩はその高校にいたのだけれど、1つ大きな勘違いがあった。




「紫乃、お前朝練は?」


「終わってからダッシュでここきて待ってたんですよ~登下校の時しか先輩に会えないですし」


「ふはっ、ストーカーかよ」



吹き出すように笑う先輩は、朝練にきていない。



さぼっているわけでも、怪我をして休部したわけでも、引退したわけでもない。




先輩は私が入学したときから…陸上部に入っていなかった。

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