第36話
―――――――……
「おはようございます」
「おはよー高山さん。今日はなんだかいつもと雰囲気が違うね」
「そうですか?」
「うん。でもとってもいいと思うよ」
「ありがとうございます」
あれから1ヶ月。
私はネイルを全部落として爪を短くした。
マツエクもとりマスカラだけにして、ヒールの高さも2センチ下げた。
長かった髪は最近結ぶのをやめてみたし、香水もつける量を減らしてみた。
全部やめるのは無理だ。
そっちのほうが無理。
でも無理することないって思えるようになったから、全然苦じゃない。
嫌なときは嫌だとはっきり言えるようになったし、それでも仕事が減ることはなかった。
29歳になって私はようやく、私らしくいられるようになった。
「あ」
「あ」
そして1ヶ月ぶりに、あのスーパーで藤井君に会った。
仕事では毎日会うけれど、こうしてたままた会うのはあの日以来だ。
「今日も当番?」
「はい。何作るんですか?」
「今日はねー1人焼肉」
「うわ寂しい人。太りますよ」
「ほんっと失礼だよね君」
「じゃあ俺の分も残しておいてください」
「え」
「家の料理作ったら、すぐ行きます」
藤井君は年下で後輩で、失礼だし怖い。
でもあなたがうちにきてくれるって笑顔で言ってくれることがとても嬉しい。
「うん、待ってる」
私は1ヶ月前、あなたのような人に愛されたいと思った。
でも今は違う。
・・・
今は、あなたに愛して欲しい。
これを今日、あなたに伝えてもいいですか。
私らしくいてもいいと言ってくれた。
私を救ってくれた。
あなたが“大好きだ”と。
「っていうか最近太りました?」
「ほんっと失礼!!」
マイヒーロー
藤井家次男のお話
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