第34話

「見栄っ張りなの、私」


「………」


「29にもなってこんな格好して、惨めだってわかってる。負け組みだってわかってる。でも今ここで折れちゃったら、もう二度と頑張れなくなるっ」


「高山さん」


「でもやっぱり大丈夫じゃないっ。私、全然大丈夫じゃないのっ」


「っ」



気づけばぼろぼろと涙が零れていた。


きっと藤井君を困らせてしまっている。

年下に迷惑をかけてしまっている。


情けない。


本当に情けない大人だ私は。



でもどうしても止まらない。



泣いたのは一体いつぶりだろう。



こんなにも、緩んでしまうのは年齢のせいだろうか。




「ねぇ高山さんって結局どうしたいの」


「はい…?」


「そういう完璧な自分をやめたいの?それともやめたくないの?」


「………」


「別にどっちでもいいけど…、でも俺はあの時震えてた高山さんが可愛いと思った」


「……え」


「ただそれだけなんですけど」



藤井君の言葉は、全然優しくなんかない。



後輩らしくもない。


むしろ当たりが強くて怖いくらいだ。




それなのに、私はなぜか思ってしまった。




もしもまだ私が誰かに愛される資格があるのなら、次に愛してもらうのはあなたのような人がいいと。

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