第28話
そして次の日、予定通り部屋を掃除して洗濯をしてから電車に乗り、会社の近くの予約していたネイルサロンに行った。
「今日はどんなデザインにします?」
いつも担当してくれるスタッフの田村さんが、ケアをしながら可愛らしい笑顔を浮かべる。
私は少し悩んでデザインのたくさん載っている雑誌を眺めたけれど、いまいちどれもピンとこない。
田村さんがしているネイルのデザインがすごく可愛かったから結局それにしてもらった。
そしていつも通りマツエクも一番長いJカールをつけてもらった。
全部が終わった頃にはもう夕方を過ぎていた。
まあ私の休日はいつもこんなもんだ。
夜は家で食べようと思い、家の近くのスーパーで買い物をして帰ることにした。
夕方のスーパーは主婦でごった返していて少し迫力があった。
「あ」
「あ」
そしてそんなスーパーで、予想外の人物と出くわしてしまった。
パーカーを着て寝癖もそのままの完全オフモードの藤井君だ。
藤井君は私を見つけるなり明らかに嫌そうな顔をした。
本当失礼だこの人。
「高山さんって休日もそんな格好してるんですか」
「え、なんか変?」
「変っていうか…」
顔を歪めたまま藤井君はすっと私の横を通り過ぎてしまった。
明らかに寝起きなのにも関わらず藤井君からあの香水の香りがするのは、もう多分この香りが藤井君に染み付いてしまっているからだ。
こんなに失礼なことを言われているのに、この香りだけは嫌いになれない。
「藤井君って家この辺なの?っていうか料理するんだ?」
私は藤井君を追いかけて彼に詰め寄る。
なんだかこのまま無視して帰るのは悔しい。
「今日俺の当番なんで」
「当番?」
「うち男しかいないんですよ」
「料理得意なの?」
「適当ですけどね。質より量なんで」
「へぇ…」
料理なんて全然できなさそうに見えるのに。
っていうか正直見た目チャラチャラしているように見えるのに、そんな藤井君がスーパーにいるのはとても違和感がある。
迫力のある主婦にもめげることなく安いお肉を平然とゲットしてくる藤井君に唖然としてしまう。
「っていうか高山さんこそ料理できるんですか」
「一応…1人暮らしだし」
「なんか野菜ばっか入ってますね」
「今日は野菜パスタにしようと思って」
「女子っぽいですね」
「女子だけど」
「ふっ」
「何笑ってんの」
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