マイヒーロー

2:美景

第23話

今の私の人生は“生産性のない人生”だ。




「おはようございます」


「おはよー高山さん。今日も綺麗だね」


「ありがとうございます」



この挨拶が続いてもう7年。




「高山さん、今日も綺麗だよね」


「本当。通りすがるときめっちゃいい香りするし」




こんな会話を聞き続けて7年。





そして、



「今日でこの部署の伊藤さんが寿退社します」




…寿退社する先輩、後輩、同期を見送り続けて7年。





「送別会の幹事は高山さんだから」




…いつのまにか、送別会の幹事を押し付けられるようになった。


忘年会も、新年会も。



部長から言わせれば、私の選ぶお店は失敗がないし、なにより私に頼むのが一番速いのだとか。


だから私はその言葉通り、迅速に失敗しないお店を選び、伊藤さんの送別会の幹事を引き受けた。







夜中1時。



送別会を終え、終電ギリギリで帰宅して、真っ暗な部屋の電気を点けた。


8畳1Kのこの部屋に住み続けて、もう7年。


終電ギリギリで帰宅して明日の朝8時に出勤する生活を続けて…7年。




なんの変わり映えのない7年。




急いでメイクを落としシャワーを浴び、乾燥した肌にニベアの青缶を塗って、オイルをたっぷりつけた髪をマイナスイオンのドライヤーで丁寧に乾かした。



明日からもまた同じ毎日が始まる。


明日からもまた、




「頑張らなくちゃ」




深夜2時。

冷たいベッドで1人、眠りについた。

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