第22話
「伊吹のお母さんのお墓参りも行かなくちゃ」
「うん。雪花はおばあちゃんに会うの初めてだよね。前回はまだ生まれたてだったから」
「きっとすごく喜んでくれるよ」
「目に浮かぶな」
笑いあっていると、部屋の向こうから雪花の泣き声が聞こえた。
「やばい、起こしちゃった」
そう言って月奈は雪花を優しく抱き上げてあやした。
俺はそんな2人を見て、目を細めて笑った。
――5年前、月奈がボストンへ行ってしまったあの日、空港での出来事を美景は後ろから見ていたらしい。
それを聞いたときは本当もう死にたくなるくらい恥ずかしかった。
あの時は正直、熱でどうにかなってたんだ。
でも、本当に追いかけてよかった。
手離してしまわなくてよかった。
まだまだこの先も、月奈の笑顔をそばで見ていられる。
声を聞いていられる。
痛みを、分かち合うことができる。
リビングの真っ白な壁には、たくさんの写真。
まだまだこうして、月奈と、雪花と、思い出を作っていける。
守るよ、2人を。
愛してるから。
大事にする。
笑顔を、
涙を、
夢を、
願いを、
過去を、
未来を、
「伊吹っ、ミルクとって」
「あ、はいはい」
今、この瞬間を――。
愛を捧ぐ
藤井家三男のお話
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