第19話

だだっ広い空港ですぐに君の背中を見つけることができたのは、もう20年以上も君と一緒にいた直感としか言いようがなかった。



搭乗口に向かおうとしているその小さな背中は心なしか、いつもより丸まっている気がした。



俺はその背中へ走った。


呼吸も荒くて、うまく息できなくて、本当死ぬかと思ったけど、




「わっ」




もう一度月奈を、抱きしめることが出来たのは…もう奇跡なんじゃないかって思うくらい幸せだった。





「はあっ…けほっ…けほっ…ごめっ」


「え、な、なんで…」



やっぱり、声にならない。


後ろから抱きしめてるというよりは、もうほとんど月奈に寄りかかっているような状態だ。


空港の道のど真ん中で、本当なにやってんだろ。




喉痛いし、汗止まんないし、本当かっこ悪いんだけど、




「伊吹…?」




名前を呼んでもらえて、もうこんなに嬉しいことはないよ。





「月奈…」








言いたいことはいっぱいあるのだけど、
















「愛してる」














――枯れた声では、これが精一杯で。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る