第17話

「不安になることなんてなんもないよ。俺だって朝日だって父さんだって、伊吹になにかあればいつだって会いに行くし」


「………」


「つーかアメリカ行ってみたいし」



大きくもないこの手で、とにかく繋ぎとめておきたかった。


どこかへ行ってしまうのが怖くて、悲しくて、寂しくて。



でもそんな不安は、最初から必要なかったんだ。



がっちり掴んでおかなくても、当然のようにそこにいてくれた。




「でも月奈は?」


「っ」


「月奈は本当の家族みたいだけど…まだそうじゃないでしょ?」



本当に繋ぎとめておかなきゃいけなかったのは…、


本当に必要だったのは…、


本当に気づいてあげなくちゃ行けなかったのは…、




――伊吹の、痛みを知りたい




君の涙と、




――そのドレス、似合ってるよ


――ふっ、何急に





君の笑顔と、






――…引き止めるなら、今だよ






君の弱さだった。






みっともないくらいに叫んだって良かったんだ。


よがったってよかったんだ。



君が必要だって、君がいないと駄目なんだって、言ってもよかったんだ。




気づくのが、あまりに遅すぎた。




大切なものを繋ぎ止めすぎて、一番大切なものを今俺は手放そうとしてるんだ。





行かなくちゃ、行かなくちゃ。





今の俺を突き動かしているのは、







まぎれもなく、君だ。

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