第12話

会話が続かないまま、気づけばもうあと数十メートルで月奈の家というところまできてしまった。



「けほっ」


「伊吹、風邪?」


「ん、どうだろ」


「私がアイス食べさせたせい?」


「そんなわけないでしょ」



そう言って、月奈の頭に手を乗せた。



…喉の奥が痛かった。


なんの痛みかも、わからない。



月奈の家は、もう目の前だ。



「じゃあ、また明日」


「…うん。明日」



いつもの挨拶。


別れるときの挨拶。



これが、本当に最後の…挨拶。




「ねぇ伊吹」


「ん?」


「…引き止めるなら、今だよ」


「っ」



小さな声で、少し自身がなさそうに、月奈が呟いた。


月奈の頭に乗せた手が震えた。

痛いほどに、心も震えた。



「引き止めないよ…」





嗚呼、もうなんで…。





「ふふっ、そうだよね」





こんなの、あんまりだ。

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