第7話

それはまるで“恋人”のようで……。




「ありがとう…伊吹」




そう言って静かに目を閉じる月奈。


規則正しい寝息が聞こえ始めると、俺も同じように瞳を閉じた。




…月奈とは、小学校の入学式の次の日から始まる登校班が同じだった。


同じ学年の同じクラス。

仲良くなるのにそんなに時間はかからなかった。



『伊吹、折原のこと好きなのかよ』


『お前ら付き合ってんの?』



小学校の高学年になると、周りに月奈と一緒にいることを冷やかされることが嫌で、しばらく月奈を避けた時期があった。


月奈は変わらず俺に話かけようとしてくれたけど、俺は徹底的にそれを無視し続けた。




――そして中学1年生の冬。


母さんが雪でスリップした車に轢かれて死んだ。


その時高校2年だった朝日と、中学3年だった美景は、悲しんではいたものの、決して現実から目をそらさず、少しずつ母さんの死を受け入れていた。

2人は大人だった。



でも俺は違った。



冬が嫌いになった。雪が大嫌いになった。

なにもかもが嫌になっていった。



俺はますます月奈に対して冷たい態度をとることが多くなっていった。

通夜にでれずに、外で蹲っていたあの日も、俺は彼女を罵倒した。




「風邪引くよ?」


「…うるせぇよ」


「元気出して?私、伊吹の笑った顔見たいよ」


「こんな状況で、どうやって笑えばいいんだよ」


「…お笑いのDVD見るとか…?」


「…本当お前って馬鹿。脳天気すぎ。なんにも知らないくせにっ」


「………」


「関係ないだろ、お前には」


「っ」



知らないうちにもっと…言っていたかもしれない。

彼女の傷つく言葉を。



こんなにも彼女は俺を元気づけようとしてくれていたのに。


それから月奈は毎日のように俺を迎えにきてくれた。


俺はそれがうざくて仕方がなくて、わざと時間をずらして学校へ通った。



そんな日々が1ヶ月続いたある日、美景が俺にこっそり教えてくれた。




――月奈が毎日、俺たちの母さんの墓参りにきてくれてることを。

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