第3話

「ただいま戻りましたー!朝日さーん!美景さーん!ハッピーなセットお届けに参りましたー!」


「近所迷惑でーす」


「朝日さーん!美景さーん!!」


「聞けこら」



玄関から2階にある2人の兄の部屋に向かって叫ぶ月奈。


その声に反応して部屋からではなくリビングから出てきたのは1番上の兄、朝日のほうだ。



「あら月奈きたの?」


「きたーおはよー。朝日さん今日仕事休み?」


「うん。またメダル?」


「伊吹が付き合ってくれたから4つゲットできた!!今度は朝日さんも一緒に行こーよ!そしたら6つゲットできるんだよ!!」


「そういうのは美景が連れて行ってくれるよ」


「はっ!美景さんも一緒に行けば8つ…それはやばい」


「なにがやばいの?美景は?」


「上。まだ寝てる。昨日遅くまで飲んでたみたいだから。見てくれば?」


「はいはーい!私行きます」


「月奈の大声でもう起きてるんじゃない?」



そう言いながら2人で2階にあがり2番目の兄、美景の部屋に入った。


部屋は真っ暗で美景は顔まで布団を被って寒そうに眠っている。



「美景さーん起きてー!メダル買いに行きましょう!!」


「そうじゃないでしょ。美景兄、マック買ってきたよ。食べる?」


「んー…しじみ汁…」


「…駄目だこれ」


「酒臭い」


「いいよ。どうせ勝手に降りてくるから先に食べよう」



ぐだる美景をおいて下に下りると、朝日がもうすでにハンバーガーを袋から出してテーブルの上に広げていた。



「朝日さんはコーヒーブラック」


「ありがとー」


「美景さんはファンタグレープ」


「そこ置いといてあげて」


「そんで伊吹が、アイスティーとガムシロ2個」


「ん」



…月奈は、もう家族みたいなものだ。



俺たちは小学校に入ったときからの付き合いで、その頃からよくうちにも遊びにきていた。


高校のとき、月奈の両親が仕事でアメリカに行ったこともあり、その頻度はかなり多い。


俺だけでなく、朝日や美景の好き嫌いも把握していて、母さんのいない俺たちの家へよく夕飯を持ってきてくれたり、作りに来てくれたりした。





「そういえば美景さん彼女できたって本当?」


「そうみたいだよ。最近夕飯だけ作って彼女の家行っちゃったりするし。しかも俺より年上」


「どうせ遊びでしょ」


「…遊びじゃねーよ」


「あ、美景おはよう」


「美景さん、しじみ汁できてますよ~。レトルトだけど」


「あー…さんきゅー、頭いってー…まじ」





こんな風に月奈がうちでご飯を食べるのは、もう一体何回目だろうか。


朝日がいて、美景がいて、俺がいて、月奈がいて、…たまに父さんがいる。



これはなんら変わりない、いつのもの日曜日の朝の光景だ。

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