第31話
夢のために、私はいつもがむしゃらに歩いてきた。
不器用で要領悪くて、そのせいで恋愛にも失敗してきた。
めげそうになって、もう立ち上がれないと思ったこともあったけれど、
そんな時、静かに寄り添ってくれていたのは彼方だった。
近すぎて気づけなかった大切な人。
夢より、自分自身のことより、私を大切にしてきてくれた人。
あなたは心まであげられないと言っていたけれど、
私はいつだって“愛”しか感じてなかったよ。
あなたがくれるものはいつも温かかった。
――“じゃあ俺にする?”
優しかった。
――“こんな雪路だから、一緒に仕事がしたかったんだけど”
穏やかで、
――“あんなやつのために泣くお前を見てるほうが仕事なくなるよりよっぽど辛かった”
心地好くて、
――“夢より、自分自身より、何より大事だったんだよ…。雪路のこと”
安心できた。
愛だったよ。
愛しか感じなかったよ、彼方。
ありがとう。
ごめんね。
ありがとう。
いっぱい時間はかかっちゃうかもしれないけど、これからゆっくり返してくから。
「オダジョーみたいな感じでもいいよ」
「いや元が違いすぎるよ」
「お客様に対して言うセリフじゃないわ」
「お金払ってないでしょー」
見返りを求めず、惜しみなく注いでくれた愛情を私はきっと忘れないだろう。
あなたが10年注いでくれたものを受け止めて、あなたとまた分け合っていきたい。
笑い合えるこの瞬間を、大事にしていきたい。
ちゃんと、ちゃんと、
この幸せを未来へ繋いでいけるように。
end
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