愛しか、感じない
第29話
―――――――……
「え?今なんて言った?」
「だから最初からだってば」
「は…?」
「会ったときから」
「…え?」
彼方の髪を巻く手が止まる。
当人は平然とした顔でさっき栄人が蹴り飛ばした雑誌を黙々と読んでこっちを見向きもしない。
――彼方の気が済むまでしきりに抱き合った後、彼方が突然「パーマかけて」と突然言ったので、クリスマスの夜になぜか自分の店で久しぶりに彼方の髪をカットして巻いていた。
まるでお客さんと接しているときのように雑談を交わしている中で、私は気になっていた質問を流れでぶつけてみた。
彼方はいつから私を好きでいてくれたの?と。
そしてなんの恥ずかしげもなく返ってきた言葉が、
“初めて出会ったときから”
というびっくり発言。
「な、なんで?」
「なんでって、雪路俺のめっちゃタイプ」
「はーっ?!」
「って!髪引っ張るなよ」
そんなの初耳だ。
つーかなに?はっ?意味わかんなすぎる!
なんでそんなすごいこと平然とした顔で言ってるんですかこの人。
めちゃくちゃ動揺してる私の方が恥ずかしいんですけど。
本当わかんない。
ほんと意味不明。
「10年片思いって結構しんどかったよ」
「女好きのくせにどの口がっ…」
「俺がどうやって優奈や他の女と別れたか知りたい?」
「え?」
「まったく相手を傷つけない方法があるんだよね」
「なにそれ…」
彼方はようやく鏡越しに私を見て笑った。
「悠斗を紹介する」
「………」
悪魔だ、こいつ。
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