第3話
「なっんなのよ本当!あの似非ホスト!!」
「あらあら雪ちゃんご機嫌ななめ?」
「ムカつきすぎて爆発しそうですよ!」
「あらあら」
店に戻った私は、バックルームでコーヒーをやけ酒のように飲んだ。
もうとっくに営業は終わり、残っていた先輩の古谷さんが私を見て首を傾げた。
「また吉倉君のとこでなにか言われた?」
「あいつ何様なんすかねー?!同い年のくせにいちいち上からものいいやがってー」
「相変わらず仲良しねー」
「仲良しじゃないです!あんな似非ホスト」
「あらあら」
似非ホスト…吉倉彼方(ヨシクラカナタ)は同じ高校の同級生で、卒業して専門に入ってからもそれぞれの職種上撮影とかで協力し合うことが多かった。
…なんの腐れ縁か27になった今でも彼方とはこうして仕事が被る。
私は美容師になったときから撮影に興味があって、去年トップスタイリストになってからは、営業以外に毎月載る美容雑誌の撮影を中心に活動している。
そしてその担当のカメラマンがあの似非ホストというわけだ。
「でも吉倉君って今若手の実力派カメラマンってファッション業界じゃちょー話題なんだよ?これからもっと飛躍しちゃったら撮影だって頼めなくなるしー」
「いいじゃないですか別に。彼方じゃなくたって」
「とかなんとか言ってー、今日のモデルさんの原案考え直してるんでしょそれ」
「………」
古谷さんは私の手元にあった紙を指差してにやっと笑った。
なんだかアシスタントの時から古谷さんにはなんでも見透かされてしまってるような気がする。
「雪ちゃんは吉倉君のこと好きだもんね」
…いつもは見透かされてる。
でも私も彼方もあまりに普通すぎて、多分古谷さんでもこれは見透かせなかったと思う。
「別れました…」
「え、何聞こえない」
「別れました!!私たち」
「……え?」
「だから!別れたんです!先週」
「え、えぇ?!?!」
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