第3話

いくら地味といえど恋はするのです。


その相手が中原君。



まぁ妄想するだけならいいでしょってことで、

私は高校生活のほとんどをゲームと中原君に費やしているという次第です。



どうせ叶わない恋なのだからいいじゃない。



こんな地味でオタクな女が、中原君を好きだなんて言えるわけがない。

恐れ多い。


だからといって諦めるなんてとてもじゃないけど無理。




満足かと聞かれると迷うけれど、決して不自由ではない毎日を送っています。




そして今日も、私のハッピータイムは始まります。



『手、繋いでもいい?』


「っ~…かっこいい~!!」



昼休み。


誰もいない屋上でPSPにイヤホンをつけながら私は最新の恋愛ゲームを弄っていた。



今攻略しているのは同い年の学校の王子様ってゆう設定の男の子で、なんと名前はケイ君。



中原君と同じ名前に加え、ルックスまでどことなく似ている。


まるで中原君を攻略しているみたい。



イヤホン越しに聞こえる甘い声は中原君とは少し違ったけれど、


こんな風に中原君に囁かれたら、耳が破裂していまうんじゃないかと思う。



「なーんちゃって…くくっ」




屋上でにやける私。



はい。キモいのは重々承知です。


こうやって隠れてゲームをする日々。



1年の時は学校でゲームは我慢していたけれど、やっぱり我慢できなくて2年になってからまるで日課のようにやり始めた。



いっそのことカミングアウトしてしまえば楽なんだけど、それはできない。




とにかく中原君には好きになってもらえなくても、気持ち悪がられない程度のポジションにいたいのが私の願い。

嫌われたくない。


遠くから見守って妄想ができる程度でいい。



それが今の私の幸せ。




『君の手、ちっちゃいんだね。守ってあげたくなるよ』


「私も守ってほしいです」



細やかな幸せが続くだけでよかった。



それなのに、





「誰に?」


「へっ…?」



こんなにもあっけなく崩れてしまうなんて――。

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