第40話

「ほんと性格歪んでるんだよ俺…。歪んでて…ちょー臆病。裏切られて傷つけられた人の夢1つ壊すことできないの」



ねぇそれは違うよ。


それは臆病じゃないよ。


人としての優しさだよ、良心だよ。



人を、赦すってことなんだよ。





「それなのに、なんで咲が俺のせいで泣くのっ…。なんで俺…咲1人幸せにできないんだろっ…」



千幸さんの言葉に何度も何度も首を振る。



気づいて、ねぇ気づいてよ。



私はあなたに幸せにしてほしいから、優しくしてほしいからあなたに会いに来たんじゃないの。


気づいて。


私を、救ってくれたのはあなたなんだよ。




「千幸さんっ…好きですっ」


「っ」


「あなたのことが、大好きっ…」



あなたの指が、


あなたの香りが、


あなたの瞳が、


あなたの声が、


あなたの体温が愛しくて仕方がない。




あなたは自分を忘れろと言ったけれど、私はきっとこの先出逢う全てのものをあなたに重ねてしまう。



この想いを、なかったことなんかにできないよ…。




「もう1回言って」


「好きです」


「もう1回」


「好きっ…」


「もう1回…」


「す…んっ――」




その瞬間、ぎゅうっとその言葉を飲み込むようにキスをされた。

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