それが好き
第14話
―――――――……
「生2つに長芋のたまり漬けと、あとシーザーサラダください」
「かしこまりました」
私はお客さんに頼まれたオーダーを伝票に書き、空いているお皿を下げてキッチンに運んだ。
土曜日の夜。
とても忙しかった。
「4卓に長芋とシーザーお願いします」
「了解しました。ごめんね本当」
「いえ」
夏休みの一番最初の週末。
私は『百合桜』にいる。
客としてではない、店員としてだ。
事の発端は1本の電話だった。
夏休み3日目。
私は今日1日は必要以上にはベッドから出ないと決めていた。
読み溜めていた小説やテレビのリモコンをベッドのそばにおいてだらけ切った休日を過ごそうと思っていたときに、電話が入った。
相手は陸先輩でなんとなく嫌な予感がしたがでないわけにはいかないので、3コール経ってから着信ボタンを押した。
「はい、椿です」
『ちっすちっす。暇?暇でしょ?』
「切りますよ?」
『ちょ、待って待って!お願いがあるんだけど』
「お願い?」
『咲にしか頼めないこと』
どうせまた飲み行こうとかだろうか。
そうだったら断ろう。
『実はさ、百合桜の夏目君が胃腸炎になっちゃったらしくて』
「え」
『ほらあの店まだ出来たばっかだからほとんど2人で回してるでしょ。千幸は店自体を1週間休めばいいって言ってるんだけど、一番稼げるときに店を休むわけにはいかないって夏目君が言ってて、まともに歩けないのに無理矢理こようとしてるらしいんだよ』
「無理矢理って…」
『バイトの子もみんな実家に帰っちゃってて人員不足らしくて』
「え、それってつまり…」
『ねぇ咲、もう一度聞くけど…暇でしょ?』
「………」
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