第13話
まだ会って2回目の夏目君にもわかってしまうくらい、私は世話焼きで…とても重い女なのだ。
だから玲菜にフラれたと言って私に泣きつけば、私が拒めないことを祥馬はわかってた。
私は重い女だ。私は、単純だ。
私は……、馬鹿な女だ。
「夏目」
私がその言葉に動けなくなっていると、聞いたことのある声が夏目君を呼んだ。
彼は夏目君に近づき、出来立ての料理を運ぶよう促した。
「こんばんは」
夏目君がいなくなったカウンターで間宮さんは、初めて会ったときのように優しく笑いかけてくれた。
「こんばんは…」
「ごめんね、夏目言い方きついけど悪いやつじゃないから」
「いいえ、私がいけないんです。言われたことは、本当のことだから」
「でも、だからこそ向いてるんじゃない?先生の仕事」
「え…」
「気遣いって、誰にでもできるものじゃないから」
…そんな風に言われたのは、初めてだった。
友達に相談しても、いつも夏目君が言っていたような言葉しか返ってこなかった。
咲は男を駄目にするタイプだって、重い女だって。
「でも、もしかしたらそれでまた…生徒を駄目にしてしまうかも」
「まあ先生も人間だから、失敗することもあるでしょ」
「………」
「そんな時は、ここにご飯でも食べにきてください」
「…そうやって、色んな女性を唆してるんですか」
「はは、バレた」
そう無邪気に笑う彼を見て、私もなぜかつられて笑ってしまった。
相変わらず、間宮さんからはいい香りがする。
私はこの香りにどうも弱い。
気を許してしまいそうになる。
間宮さんは私をカウンターに座るよう促し、テーブルにこの間と同じチーズオムレツを作ってくれた。
「私、これ好きです」
「ん、そりゃよかった」
私が美味しそうに頬張る様子を見て、間宮さんはとても嬉しそうに笑ってくれた。
間宮さんは料理を作りながら、何度も話しかけてくれた。
気遣いは誰にでもできるものじゃないとあなたは言ったけれど、間宮さんはきっと誰にでも気遣いができる人だ。
私が座敷に戻ったあとも、席まで直接料理やお酒を運んできてくれた。
私だけでなく、他の先生や真壁先輩にもまんべんなく話しかけることのできる間宮さんは、本当にいい人なのだ。
単純だ、とまた思われてしまうかもしれないけれど、私はまたこのお店にあなたの料理を食べにきたいと思った。
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