誓いの日

第8話 誓う戦い ー1ー

「今から実践演習が行われるからちゃんと気を引き締めていけよ!」


1学期のきかんはあっという間に終わり夏休みに入った。

中間試験と期末試験はいつも寝ている伊織は何故か高得点をとりいつも真面目に聞いている剛田が酷かった。

ちなみに天王寺はどちらとも学年1位だった。

俺はどうやったのかを聞いたが普通にやったと返され理解することを諦めた。

今日乗っているこの宇宙船は悪魔との戦闘地へ向かうためのものだ。


「さて、前にも何回も言ったがみんな死ぬなよ?できる限り教師は守るようにするが守り切れるかは正直敵による。基本的に守り切れると思うが万が一強い奴…正確にはこちらの言語を話すやつが来たら俺たちが助けに来る前にやられるかもしれない。結局最後自分の命を守るのは自分だからしっかりしろよ!」


そうして俺たちは戦闘地に乗り込んだ。


◇◆◇

「こんな感じで張られているテントの中では怪我人の対応をしている。かなり見るのが辛い光景だと思うが慣れなければならない。」


そこには地獄のような光景が広がっていた。

腕や足がなくなっている人や腹に穴が空いてる人。死体も転がっていた。


「次のところから敵戦地に行くから構えておくように。」


俺たちは覚悟を決める。


(初の実戦だ。)


『別に緊張するこたぁねぇよ。だといつも通りやるだけだ。』


(ああ、そうだな。)


一歩、踏み出す。

そこから地獄が始まった。


◇◆◇


「左から来るぞ!」


「右も来る!遠距離班バフ頼む!」


「了解!」


「怪我人は後ろにやれ!テントまで持っていかなくても遠距離班の後ろにやってやれ!」


「生徒達を守りながら行け!できるだけでいいから進め!」


「ハッハッ…!」


これが戦場…。

控えめに言って地獄だ。

現在進行形で怪我人が出るし生徒達も一定数怪我している。何より数が絶えないせいで返り血で前が見えづらく危ない。

声を出さないと救援も呼ばないため声も枯れる。


「ぐっ…!こっち怪我人出ました!後ろにやります!」


「了解!」


「あと少しだ!ボスが来たぞ!」


大型の悪魔が来た。


「チッ…勢いがまた出てきた!コイツら少なくなってきたのに…!」


「違う!押してるように見せかけて後退している!それぞれ散会して追いかけろ!」


「了解!右翼はこちらについてこい!」


「左翼はこちらへ!」


「正面は生徒を入れるな!ボスへは正隊員がやれ!」


カエルムのメンバーは全員右翼へ向かった。


「追いつけ!あと少しだ!」


「分隊長!こちらにも大型のボスが来ています!」


「わかった!それは俺が仕留めよう!」


「了解!私たちは周りを仕留めろ!」


「「「了解!」」」


俺たちは能力を使いつつ味方を巻き込む可能性が高いため基本的に神力で押し切って仕留め続けた。


これが何分…いや何時間続いたのだろう。

ようやく群れの限界が見えた。


「あと少しだ!押し切れーー!!」


「おおおおお!」


そうして俺たちは群れを狩りきった。


「すべて討伐したことを確認した!これより正面からいった者どもの加勢をする!」


「了解!」


そう言って俺たちはまた駆け出した。


そう、駆け出した時問題なかったらどれほど良かったか。


「あっ?」


俺はそれを目にした時全身の細胞がざわついた。


これが。あれが。

本当の悪魔なのだと知ったのだ。


「分隊長ーー!!!!」


分隊長の首が気づいた時には落とされていた。


焦燥


早くこの場から逃げなければならないという

焦り。

それとともに襲ってくる威圧感。動けない。

汗が垂れる。


「ふむ…肩にバッチがついているのが生徒ですかねぇ。酷く怯えていますし。」


「!」


こっちの言葉を喋っている!

…どうする?

逃げるか?

いや逃げられない。おそらく逃げようとしたところで殺されるのがオチ。

じゃあ正隊員の人が動いたタイミングで…。


「とりあえず生徒は残しときましょうか。」


その瞬間、正隊員の人の首が飛んだ。


(クソ…!)


『おい、今戦おうとしてるだろ。逃げろ。』


(逃げらんねぇだろ!)


『他の奴らを盾にすれば教師陣と合流できる。教師陣にはコイツに対応できる奴もいた。』


(いやだめだ。カエルムのメンバーを失うわけにはいかない。)


『じゃあどうすんだよ。』


(戦う。)


『おいおい待て待て!それは本当に無謀だ!』


(ロキに挑むより無謀じゃねぇよ。アイツロキよか強くねぇだろ。)


『…はぁ。好きにしろ。』


持っていた刀に力を込める。


「ふむ…。つまらないですね。暇つぶしに来たというのに挑んでくる生徒がいない。正隊員は残しておくとべきだったでしょうか?いや、だめですね。正隊員は正しい判断を下してしまうのでつまらなくなってしまう。」


そうだ。俺がこれからやろうとしていることは間違ったことだ。


逃げるべき。

戦わないべき。

教師に頼るべき。


ただ、それがどうした。


(友達が危ねぇんだぞ!)


瞬間、俺が踏み込んだ。


「!クフフ、いいですね!やはりこうでなくては!」


(コイツの能力はおそらく見えない斬撃を飛ばすこと!手をかざした方向に切られていた!)


なら!


「いいですね!」


距離をガン詰めて見えない斬撃のメリットを少なくする!

距離を空けられたら【暗光】で時間を稼ぎまだ詰める!


「ぐっ…!【暗光】っ!」


胸に傷を喰らう。


「おい!戦わない生徒は教師を呼びに行け!俺が時間を稼ぐ!カエルムのメンバーは残って助けて欲しい!」


そこで周りにいた生徒がハッとしたように動き出した。


「俺東雲先生呼んでくる!」


「正隊員の人にも伝えてくる!」


みんなが走り出す中伊織が話しかける。


「で、どうすんの?」


「戦うしかないだろ。全員逃げても全員殺されて終わる。それに見ろよ。」


ニタニタと笑う悪魔に目をやり言う。


「アイツ、完全に俺らを舐めて遊んでる。勝つことは無理でもある程度の時間稼ぎならまだ希望がある。」


「そうだね…。じゃあ行くか。」


「よし。天王寺!後ろから援護頼む!」


「了解です!」


「剛田!伊織!俺たちは前でゴリ押すぞ!」


「オッケー!」


「応!」


頼むから本気でこのまま殺しにくるなよ…!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


少し空いてしまいましたが久々の更新です。

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