第6話 カエルム

「チーム名ねぇ…。」


俺は空を見上げながら考えていた。


『テキトーにつけりゃぁいいじゃねえか。』


(そうしてダサかったら嫌だろ…。)


そう伝えながら空を見つめる。


空…空かぁ。

空って確かラテン語でカエルムっていうんだっけな…。


(カエルム…。)


『あ?』


(カエルムって名前どう思う?)


『まあいいんじゃねーの?知らんが。』


聞いてみるか…。


〈チームの名前なんだけどカエルムってどう思う?〉 既読2


伊織〈いいんじゃねー?〉


天王寺〈いいんじゃないですか?〉


〈剛田が反応ないな…。〉既読2


〈こうゆうの意外と反応遅いタイプっぽかったしな。〉


〈剛田の確認が取れ次第これにするか。〉既読2


〈そうですね。〉


〈オッケー。〉


「…っし。」


『この後はどうすんだ?』


「特訓だな。とにかく自主練。それと中間試験の予習。」


『真面目だなぁ。遊ぶとかにはならねぇのか?』


「別に趣味があるわけじゃないしな。」


『そうかよ。』


昔から何かに興味を持つことはなかった。

割となんでもできたし何かに困ったりはしないが突飛した何かがあるわけじゃない。

器用貧乏だ。

それでも。

俺は今神力に興味を持ってる。

夢中になっている。


(…楽しい。)


『…ククッ。そうだな。』


手をグッと握る。

そして俺は立ち上がる。


(訓練場行くか。)


強くなりたい。

ただ何の理由もなく、純粋に。


この時は、ただそう思っていた。


◇◆◇


「実はちょっと伝え忘れてたんだが夏休みに実践演習がある。」


実践?


「神々の敵。悪魔を狩りに行く。」


「「「!」」」


いやそんな大事な情報伝え忘れてたのかよ。


『大丈夫か?この教師。』


「クラスごとに分かれて日を開けてやる。危なかったら教師が助ける。詳しくは直前にも話す。以上!」


◇◆◇


「実践演習、かぁ。」


伊織がつぶやく。


「どういう環境で戦うのか確認できるしいいイベントだとは思うが緊張するな。」


「ね。」


そう言いながら俺らは一緒に食事する。


「この定食うまいな…。」


「それな。てゆーかさ、聞こうと思ってたことがあって。」


「ん?なんだ?」


「結局カエルムで集合するときって何するの?」


「基本的にはトレーニングにしようと思ってる。次集まる時はランク戦のルール確認からしようと思ってるけどチームでランク戦の映像見て連携して戦う時のトレーニングで何が必要か決めてやるって感じの。」


「あーいいね。流石にぶっつけ本番は無理だしね。」


「ああ。まあでもやってみないとわからないからな。」


ランク戦のルール確認した時に思ったが基本的にルール上チームvsチームっでなるだろうからやっぱり連携することに慣れておかないとな。


「…俺も個人練習するか…。」


「お、いいな。俺放課後体力トレーニングやるつもりだけど一緒にやる?」


「やる。あ、でも甘めにお願いします。」


「キツめか。了解した。」


「ちょっとまてぃ。」


吐くまでやってやろうじゃないか。


◇◆◇


「ハッ…ハッ…。」


「ハッ…だいぶ…体力あるなっ…。」


「一応っ…鍛えてたからっ…。」


俺たちは地面に膝をつきながら話す。

放課後になって俺たちは走り込みをしていた。


「っぷはぁ!」


「運動してる時の水が1番美味しいな。」


「間違いない。」


持ってきていたペットボトルが空になるまで飲んだ後一旦水を汲みにいってまた戻ってきた。


「で、次は何すんの?筋トレ?」


「まあそれもいいんだけどさ…。」


暑くなって上の服を脱ぎ捨て俺は言う。


「能力なしで戦ってみない?」


「あー、なるほど。んー…やってみるか。」


そう言って伊織も上の服を脱ぎ捨て小刻みにジャンプし始める。


「いつでもいいよ。」


「お言葉に甘えてっ!」


まずは正面からのグーパン…と、見せかけた!


「!」


「ドラァ!」


蹴り!


「うわっとぉ。危ない危ない。」


そう言いながら伊織も蹴りを入れてくる。


「ふっっ。」


避けながらもう一度蹴りを入れる。


「ぐっ…。」


「!」


直後、俺の視界が下にぶれる。


(足で払われた!)


そのままグーパンを叩き込まれる。


「ぐっ…。」


俺は伊織の殴ってきた腕を掴みこちらに引き寄せてグーパンを叩き込む。


「ふぐっ…。」


更に蹴りをいれて距離をとる。


「フゥーッ。」


「体力切れ?」


「まさか。」


どう崩すかな…。

フェイント入れても対応してきたしまともに入ったのはさっきの腹へとグーパンだけだ。

ただ、それは伊織も同じこと。


(ちょっとチャレンジしてみるか…。)


俺は伊織との距離を詰め、大振りにグーパンをする。


すると腹にグーパンをしようとしてくる。


(きた!)


グーパンしようとする拳をキャッチしグーパンをする。


(ここからっ!)


足で払って伊織の体勢を崩しそっから殴ろうとしたところで…。


「こうさーん。」


「ふぅー。」


戦いが終了した。


「いや最後の殴りかかる時の顔怖かったわ。」


「本気になりすぎちった。すまん。」


「それ謝意ないだろ。」


そんなこと言いながら俺たちは休憩をした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

最後勝ったか負けたかで差が出たのはリアンがいつもロキと実践経験を積んでいるからです。

伊織もリアンも同じくらい鍛えてます。

伊織はいつも寝てるけど。

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