第6話 モロに変な家でした

「ハンニバル、この【家】は色々と【変】だ!!」


 もんの凄い真顔…というか、息切らした顔でスキピオのヤツがワシに言うてきた。

 なんじゃ、まーた実家での掘り出し物洒落にならんレベルでの下ネタオンリーの落書きでも、見つかったか?

 でも最近はとんと、音沙汰無しじゃしのーそういうの。

 というか発掘作業、真面目にしとるんか?こいつん家。


 まー、暇じゃし?話でも聞くかー。


「何がぞ?」

「この家は、おるのだ!!」

「は?」

「だから!お前も見ただろう!!デカイ猪とデカイ犬様が出てる映画!」

「あー、あー!!」


 それはス◯◯オ・ジ◯リが作った大ヒットアニメ映画、キャッチコピー「生きろ」。それを爺さん二人で前日見ていました。


 そしたら、見終わった途端に。

 現実にいるはずのない主人公をスカウトしに行くと言い出した!

 しかも、あのバカでかい白猪をワシなら乗れる!絶対絶対、乗れるわい!!と、大の字になって駄々を捏ねまくった、65モード全開にハンニバルを止めるのにめちゃくちゃ苦労した。


 一応、念のために言うがな!

 最全盛期には我々【古代ローマ人】の裏をかき、ピレネーからのアルプスを南下!

 ローマの防御網を悉く縫うようにして気づけば、【カンナェの地】で暴れたハンニバル古代ローマが国家規模全体で唯一恐れた男よ!

一体全体、どうしたらこうなるのだ!?!


「何でじゃああああ!!あの弓の腕前あったら、ローマ軍なんぞイチコロじゃわい!!乙◯主様の軍団率いて、もっかいピレネーからのアルプスからのローマ南下ルートじゃああああい!」

「やかましい!!だいたい、あの爽やか好青年はどう見ても、前半からオクタビアヌス的ポジションだろうが!!貴様のような一人何でも出来るもんなヤツは唐笠連で我慢しろや!」

「嫌じゃあああああ!アシ◯カ君をお迎えしたいんじゃあああああ!!」

「黙れ爺!!貴様にカルタゴが救えるか!!」


 すん、としたので落ち着いたのだろう。


 そうして、私は一人で「となりのト◯ロ」をみた。

 こちらは日常ほのぼの系だ。

 そう私達のような日常だ。


 ………いや、いる。

 だって前日から何やら二階でカサカサと音がしているのだ!そう!


 そう言えば、最初このに来たときだ!


 ハンニバルのヤツがいっていたではないか!


「なあんかな、くっっそ物件訳ありクソヤバ物件でな?店の人も、【え!此処にするんすか!?】みたいなこと言うとったから、【ウルセエ!買うわい!】ってことで買ったぞい。あ!一階だけ住めるようにワシがしたぞい!ありがたく思えよ!」


 いるではないか!我が家にも!

 まっくろく◯すけくんが!!

 ふははは!!何をまっくろく◯すけくんに恐れているのだ、ハンニバルのヤツは!!

 すぱーーん!と一階の襖を開けるスキピオ。

 客間という「和室」がある。

 キョロキョロ見渡し、上を見た。


「上だ、上に行こう」


 階段をあがり、ドングリが落ちてないか、注意深く見る。

 そして一気に2階までかけあがる!


 ジットリした空気が、漂っていた。

「まっくろ◯ろさーん……、いますかー?」

 シン、と静まりかえっている。


 だが、明らかにカサカサという音がしている!

 何処だ?!2階の窓を開けるために、窓を開ける!

 此処だ!このシーンで!!ぶわあああああっと黒いのが!そう!黒い塊…の、が。

 ヒヤリと私の足元に違和感を感じた。


 明らかに黒髪のロングヘアーの女屋根裏部屋にお過ごしのお母様は。

 以前から「我が家にいきなりやってきた二人を」認識していた。

 そしてノコノコとを駆逐せんとばかりに、スキピオの足元に、彼女カヤコさんは「ニタアアアアア」と笑いました。


「ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア」

「くぁwせdrftgyふじこlp」


 おい、ハンニバルよ。

 貴様が買ったこの激安物件。

【この家】なんか、「変」だぞ!


「んで、2階に行ったのは間違いないんじゃな?」

「あい…」

「なんじゃい!そんのなっさけない声は!」

「だってお前!!あんな!あんなクッソ恐い女がいるなんて、想像つかんだろうが!!」


 スキピオさんは前の日にまっくろ◯ろすけ君を探しに、二階に上がりました。

 そこでなんと、見ず知らずの「黒い長髪の女」と出会ったのです。

 腰が引けそうになりながらも何とか逃げだし、ハンニバルに家が「変」だとわーわー口角飛沫を飛ばし、「カルタゴ滅ぶべし」と件の大カトーさん並みに、声高に主張するので静かに言いました。


「ちなみにな。スキピオ。この家にある【四角い】にもんじゃよ……。まあ多分、別人サダコさんじゃと思うが」


 そう言えば、ト◯ロでも、「かんた」という少年が主人公のお姉ちゃんに言っていたのです。


「やーい!お前んち、お化っけ屋っ敷~!!」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る